【声マガ・インタビュー】牧野 天音

【声マガ・インタビュー】牧野 天音

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PROFILE

アーツビジョンに所属する牧野天音さんは、東京都出身の11月8日生まれ。『メルクストーリア -無気力少年と瓶の中の少女-』(パルティシャン役)、『ひとりぼっちの◯◯生活』(挽辺恵澄役)等に出演。2019年7月放送の『Re:ステージ! ドリームデイズ♪』では、式宮舞菜役で出演。
子どもの頃から漫画が大好きだったという牧野さん。なかでも楳図かずお先生の怖いだけではない、人間の本質を描いたスケールの大きい作品に惹かれるのだとか。そんな牧野さんに声優をめざしたきっかけと日本ナレーション演技研究所(以下、日ナレ)で学んだことや、今後の目標についてお話していただきました。

高校の行事で知った演じることの楽しさ

【声マガ・インタビュー】牧野 天音のインタビュー

声優という仕事を意識したのはいつ頃ですか?

小学生の頃はアニメを観ていてもまだ「絵がしゃべっているのかな」くらいのぼんやりとした意識しかなかったのですが、中学1年生の時、お年玉で買った『ロミオの青い空』というアニメのDVDを家で観ていた時に、「絵そのものがしゃべっているわけではないな」と、認識するようになりました。しかも主人公の男の子に声をあてているのが女性の方だと知って「すごいなあ」と思ったのが、声優という職業を意識した最初だと思います。

では、声優をめざしたきっかけはどのようなものですか?

私が通っていた高校では、毎年5月に学生全員が参加する演劇会を伝統行事として行っていたんです。私も1年生の時に裏方として参加したのですが、そこで観た先輩達の演じた劇が素晴らしくて、非常に刺激を受けたのが演じることに興味を持つきっかけになりました。

牧野さんはそれ以前から、人前で何かすることはお好きだったのですか?

子どもの頃から目立つのは好きな方ではありませんでした。でもこの時はとても熱量があって、2年生になったら是非行事の中心的な役割を担いたいと思い、脚本係になりました。その時、私のクラスはおとなしい子が多く最初はあまりキャスト希望者が集まらなかったので、それならば自分もオーディションに参加して、出来るだけ多く参加者を募ろうとしたところ、有難いことに役をもらいました。

実際に演じてみていかがでしたか?

本当に楽しかったです。「セリフを言うのって、なんて面白いんだろう」と思いました。これ以降も、私の中のお芝居への熱は高まる一方でしたが、高校2年生でいまさら演劇部に入るのも気が引けたので、どこか外部の劇団に行こうと思い、探し始めたんです。そんな時、日ナレの存在を知って、声優というお仕事に興味を持つようになりました。

この時点ならば声優ではなく、舞台俳優という選択肢もあったように思うのですが?

セリフを言うこと自体は楽しかったのですが、私は運動音痴で動きのある演技が苦手だったことと、人前に出るのはまだ苦手だったので、それなら顔を出さないでセリフだけを言う声優という選択肢があるな、と当時考えた記憶があります。

日ナレを知ったきっかけを教えてください。

ネットの検索で知りました。週1回なら高校に通いながら行けるし、養成所なので声優になれるかもしれないと思いました。それに自分の知っている声優さんが通われていたのも大きな決め手でした。

ご両親の反応はいかがでしたか?

驚いていました。私がお芝居にここまで熱中しているのが意外だったようです。でも反対はされませんでした。そもそも両親は私が声優になれるわけがないと思っていたので、この時点ではあくまで習い事の延長線だと考えていたようです。

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入所されたのはいつですか?

高校3年生の時です。

実際、入所した日ナレの印象を教えてください。

私は代々木校に通っていたのですが、「物怖じしないで、みんなで頑張っていこう」といった、良い意味で和やかな雰囲気だったので、基礎科の1年間は緊張した記憶はありません。

基礎科ではかつ舌や発声などの基礎を主に教わったと思うのですが、いかがでしたか?

基礎科でのかつ舌文などは、あまり苦労しませんでした。無理なく段階を踏みながら学ぶことができたので、自然に身につけることができたんだと思います。でも、本科、研修科と進むうちに、「このままではプロで活躍している方とはレベルが違う」と悩むようになりました。その悩みとは、プロになった今も戦っています。かつ舌も発声も本当の意味で身につけるためには天井がないので、この先、何十年も日々精進せねばと思います。

基礎科の講師から教わったことで印象に残っていることや言葉があったら教えてください。

「もっと楽しんで、物怖じしないでやろう」です。具体的な技術や理論よりも、何事にもぶつかっていくハートと演技をすることの楽しさを教えていただきました。

演技への意識が激変した研修科のレッスン

【声マガ・インタビュー】牧野 天音のインタビュー

本科では舞台形式でのレッスンが中心だったと思うのですが、いかがでしたか?

基礎科では純粋に演じることの楽しさを教わりましたが、本科ではそうはいきませんでした。レッスンではドラマの脚本を使用したのですが、演じるのは舞台なので、話し方や発声はドラマとは違います。発声で言えば、一番奥にいるお客さんに届くようにセリフを言わなくてはいけないのですが、だからといって叫ぶように演じるのとは違うんです。私は基礎科の終わりに事務所に所属したのですが、この時点ではまだマイク前を体験していなかったので、本科のレッスンは、声の出し方や届け方を学ぶとても良い機会でした。

本科の講師から教わったことで印象に残っていることや言葉があったら教えてください。

本科の講師は、受講生の自主性を重んじる方だったので、受講生一人ひとりが自分の演技のどこが良くて、どこが悪いのかを各々で考えなければなりませんでした。特に新しい台本に挑戦する時はとても緊張しました。でも、どうしてもわからない時は、丁寧にその理由を説明してくれました。また、自分があらかじめ考えてきたお芝居がしっかり筋が通っていれば、それが仮に講師の方の考える正解と違ったとしても評価してくれました。

ちなみに、当時の生活サイクルについて教えてください。

高校の頃とあまり変わらず、大学の授業が終わってから、平日の週1回レッスンに通っていました。私は大学の課題は絶対に構内で終わらせたいタイプだったので、持ち帰らないようにしていました。構内では大学の課題、家ではレッスンの復習と、きっちり分けて生活していました。

研修科ではいかがでしたか?

研修科の講師の方との出会いは本当に衝撃でした。お芝居の間合いなどを主に教えていただいたのですが、研修科1年目のレッスンではいわゆる座学に費やす時間が長くて、その内容も本当に濃いものでした。

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具体的には?

台本に書かれているセリフの本質はいったいどこにあるのか、このことを考える姿勢を徹底的に教わりました。意味を理解しないままセリフを言うことを絶対に許さない方で、「この場面で作品が表現したいことは何か、今この登場人物が表現したいことは何か、それをしっかり考えなさい」と何度も言われました。それまでの私はどこか感覚で演じているところがあったのですが、研修科の講師の方と出会ってからは、台本のとらえ方がガラリと変わりました。

実際のレッスンはどのようなものでしたか?

とても厳しい方で、常にレッスン中は緊張感が漂っていました。演じている最中であっても、少しでもおかしいところがあれば即座に止められて、なぜそのように演じたのかを問われるのですが、演技の意図をしっかり説明できないと、いつまでも交代させてもらえないんです。

講師の方の言わんとすることをすぐに理解できましたか?

初めのうちはどうしたら良いのかわからなかったのですが、夏くらいになるとだんだんわかるようになってきたんです。例えば「セリフのこの部分で音が上がるというのは、嘘をついているからなのかな」とか。少しずつ理解できるようになってからは、レッスンが楽しくなってきました。

そうなってくるとご自身のお芝居にも影響が出ますよね?

そうですね。講師の方のおっしゃっていることがわかるようになった秋頃に、ある台本をもらったのですが、登場人物の中に自分が得意とする役がなくて、悩んだ末に、自分の性格とは程遠い役を選んだんです。それまではおとなしい役が多かったのですが、この時は小悪魔的で、相手を挑発するような気の強い役を演じることになりました。そこで自分の周囲にいる気の強い人を観察するようにしたのですが、気の強い人はセリフの言い方以前に、呼吸の仕方や歩き方が他の人とは違うということに気づいたんです。それからは、その人達の癖や特徴を自分のものにできるよう、繰り返し練習しました。

講師の方は、そんな牧野さんのお芝居を見てどのような評価をしたんですか?

自信はなかったのですが「絶対にやりきってみせる」と思いながら演じたら「その役そのものになっている」と言ってもらえました。あの時は本当に嬉しかったです。なかなか褒めてくださらない方ですが、そう言っていただけた時は「自分のアプローチは間違っていなかったんだ」と思えて、自信につながりました。

苦手だった踊りを克服する過程で得た気づき

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レッスンを通して成長を実感できた出来事があったら教えてください。

掛け合いで普段と違う反応を相手がしたことがあったんです。それって、こちらが普段と違うお芝居をしたから、相手もいつもとは違う反応をしてくれたんだと思うんです。反射ですぐに返してくれたのは、その前のお芝居で自分が流れを作ることができたからだ、と。そうやって「お互いが違うステージに行けた」と思えるお芝居ができた時に、成長を感じることができました。それと先ほどの気の強い女の子の役を演じた際、講師の方から「地でやっているだろう」と言ってもらえた時も嬉しかったです。私の地は、演じた役とはかけ離れているのですが、講師の方がそのように錯覚したのは、完全に騙すことができたからだと思うんです(笑)。

日ナレで教わったことで、プロになって活きていることがあったら教えてください。

すべてです。お芝居をするうえでの、ちょっとしたこと一つひとつが今の自分を作っていると思います。何が欠けても今の自分はありません。

基礎科の終わりに事務所に所属されたとのお話でしたが、デビューはいつですか。

1年目の秋に、「Re:ステージ!」の式宮舞菜ちゃんの役でデビューしました。オーディションでもガチガチに緊張していたので、受かっただけでなく、ヒロインを演じさせていただけることになるなんて思いもよりませんでした。

初めての役が主人公ということで、プレッシャーはありませんでしたか?

「ない」といったら嘘になりますが、舞菜ちゃんとの出会いは、声優として運命的な出会いだと感じていましたから、とにかく頑張ろうと思いました。ただ、この作品では声のお芝居だけでなくステージで歌ったり踊ったりする必要があって、その点はほぼ不安しかありませんでした。特にダンスは人前に出せないくらい下手だったので、なんとか人並みに踊れるようにならなければと焦りました。

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人前に出せないくらい、ですか?

この時、振り付けを担当してくれたのがアイドルの振り付けをしている先生だったので、踊りのプロを指導していた先生は私の踊りを見て「ふざけているなら帰ってください」と言われました。勿論必死にやっていましたが、そのくらい最初の頃はできていなくて、どうしたらいいのか分からず途方に暮れていました。

モチベーションを上げるのがさぞや大変だったと思うのですが。

とにかく当面の目標を「自分が楽しいと思える段階まではいこう」と決めました。それからは何回もビデオで振り付けを見返しては、上手な人と自分がどう違うのかを比べる日々が続きました。そんなある日、「どうすればうまくなるかを考えるという点では、発声やかつ舌の練習も踊りの練習も研究するという意味では一緒なんじゃないか」と気づいたんです。それからはどうしても無理だという気持ちが自然となくなり、楽しさを見いだせるようになりました。

初めて現場でマイク前に立った時のことを教えてください。

オーディションでいただいた役という意味では、『Re:ステージ!』のドラマCDの収録だったのですが、とても緊張しました。この時点では、まだマイク前の経験がほぼなかったので、マイクとの距離の取り方が分からず、距離が遠すぎたり、近すぎたりして何度もやり直してやっと収録を終えたのを覚えています。

どんな声優になりたいか教えてください。

どんなに短いセリフであっても、そのセリフの本質を捉えたお芝居ができる、何歳になっても、どんな役でもできる声優になりたいです。そしていつの日か恩師の方々と共演できたら嬉しいです。

声優をめざしている方へメッセージをお願いします。

「声優になりたい」、そう思い立ったが吉日。私は「やりたい!」と思った熱が冷めないうちに行動することができたことが、今に繋がったと思っています。それから、その熱量をいかに維持するかも大切です。始めてすぐのうちはすべてが新鮮に感じるものですが、一つできるようになると次の段階がとても遠くに感じられるものです。そんな時は、好きな作品を観たり、仲間と会って刺激をもらったりしてください。そして「自分の好きなものはこれだ」という原点に立ち戻って、声優になりたい気持ちをもう一度確かめて欲しいです。体に気をつけて、頑張ってください!

プロフィール

牧野まきの 天音あまね

所属事務所
アーツビジョン

主な出演歴

  • Re:ステージ! ドリームデイズ♪(式宮舞菜)
  • ひとりぼっちの○○生活(挽辺恵澄)
  • メルクストーリア -無気力少年と瓶の中の少女-(パルティシャン)

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