【声マガ・インタビュー】関根 瞳
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PROFILE
アイムエンタープライズに所属する関根瞳さんは、東京都出身の5月9日生まれ。これまで『アイドルマスター シャイニーカラーズ』(櫻木真乃役)、『江戸前エルフ』(小金井小柚子役)、『六道の悪女たち』(露草水絵役)、『暴食のベルセルク』(エリス役)等に出演。2024年は『さようなら竜星、こんにちは人生』にセリナ役で出演。
お笑いを観ることやラジオを聴くことが趣味で、最近は「料理にもハマっている」という関根さん。週末には家族と一緒に買い物に出かけ、つまみを作って一緒に飲むことも。そんな関根さんに声優をめざしたきっかけや日本ナレーション演技研究所(以下、日ナレ)で学んだこと、今後の目標について語っていただきました。
「声優になりたい!」強い気持ちに押されて養成所に通い始めた中学時代
声優という仕事を意識したのはいつ頃ですか?
小学5年生の時に、友達に勧められて観たアニメ『銀魂』がきっかけでした。それまでもディズニーチャンネルなどでアニメは観ていたのですが、『銀魂』で初めて「アニメってこんなに面白いんだ!」って夢中になりました。とくに沖田総悟くんというキャラクターが大好きで、いろいろ調べていくうちに声優という仕事があることを知って、そこから声優さんのラジオを聴くなど、意識するようになりました。
ご自身が声優をめざそうと思ったきっかけは?
『銀魂』をきっかけに小学5~6年生の時には声優になりたいという気持ちが芽生えていました。でも周りの人に言うことが恥ずかしくて、小学校の卒業文集には全然違うことを書いていました(笑)。ただ、中学受験をした後に、声優になりたいっていう気持ちがすごく強いことに気づいたんです。例えば、幼稚園の頃とかって毎日将来の夢が変わったりするじゃないですか。そういうのとは全然違う、ものすごく強い気持ちが自分の中にあって、声優になることばっかり考えている自分がいました。。。当時、アニメイトさんで買い物をすると声優さんのインタビューが載っているチラシが入っていて、それを何回も繰り返して読んで、なりたい気持ちがどんどん高まっていきました。日ナレに入ったのは、中学1年生の11月の時でした。
中学生で養成所に通うことにご両親は反対しませんでしたか?
自分がやりたいのなら…って感じで、習い事みたいな感覚で通わせてくれました。本気で声優をめざすとは思っていなかったんでしょうね。
「日ナレ」を選んだのはなぜですか?
中学生が通える養成所が少ない中、日ナレには小学5年生から中学3年生を対象にしたジュニア声優クラスがありました。レッスンは週末なので、学校に通いながら無理なく受けることができることや、場所も交通の利便性がよくて通いやすく、金額的にも親に頼みやすい価格でした。そして何より、グループプロダクションに有名な声優さんがたくさん所属していることに安心感を持ちました。
入所当初の生活サイクルを教えてください。
土曜日の午後、レッスンに通っていました。でも、レッスン以外の日もレッスンのことを考えている時間が多かったです。日ナレに通ううちに、週1回のレッスンは練習の場ではなく、その他の曜日に練習したことを発表する場という考えをもたなければいけないと思うようになったので、とにかく次のレッスンまでにいっぱい練習して成果を見てもらいたくて。だから同級生たちが遊んでいる時も、一緒に遊びたい気持ちはありつつも、家に帰ってひとりで練習していることが多かったです。寂しい気持ちもありましたけど、それ以上に、好きなものを見つけて、そこに向かって進んでいる自分がすごく嬉しかったし、楽しかったです。
入所した頃の日ナレの印象はいかがでしたか?
同い年の女の子が多くて、学校と似たような雰囲気でした。でも、日ナレに通うようになって、自分自身がとても変わったと思います。学校では人前で話すことが緊張してすごく苦手でしたが、レッスンでは皆の前で大きい声を出したり感情を出したりしなければならなくて、最初はそれがすごく恥ずかしかったのですが、同世代で同じ目標に向かっている人たちばかりだからこそ、負けたくないという気持ちや自分が一番輝きたいという気持ちが芽生えてきたのではないかと思います。親にも妹にも言われたのですが、積極性が出てきて「声優になりたい」って友達にも胸を張って言えるようになりました。
レッスンを受けるうちに、声優になりたい気持ちがますます強くなったんですね。
正直、最初は習い事感覚で通っていたところがありました。でも11月に入所して、次の月にすぐ進級審査と所属オーディションがあって、好きという気持ちが強かったから1次くらいは受かるだろうと思っていたら普通に落ちて(笑)。その時、ここに通うということは遊びじゃなくて本気でお仕事に向かっていくということなんだってわかりましたし、逆にここで受かれば自分の年齢でも声優になれるんだってわかって本気度が高まりました。
ジュニア声優クラスという早い段階からの入所は、良かったと思いますか?
自分の性格もあるかもしれませんが、まだ子供で何もわからない柔軟な思考ができる時に入って良かったなって思います。もっと大人になってからだと、声優ってこういうものって自分の中で勝手なイメージを作り上げてしまって、入所したのにストレッチしかしないじゃんとか、発声しかしないじゃんとか、マイク前に立てないんだとか、レッスンに不満を持ってしまうかと思いました。そういうのがなかった分、講師の方にアドバイスをいただいたら、全部吸収しようって単純に思えましたし、元々ポジティブな性格っていうのもあるのかもしれませんけど、「やったるで!」って気持ちで前向きにいろいろチャレンジすることができました。
高校生になって、基礎科に進まれたそうですが、学業との両立は大変ではなかったですか?
ジュニア声優クラスの頃と同じく、週1回土曜日に日ナレに通って、その日のために家で練習もいっぱいしていました。高校時代って文化祭とか友達と遊ぶとかいろいろ楽しいこともいっぱいあって、そういうことも好きだったので、勉強は苦手なところもありましたけど(笑)、先生や友達に助けてもらいながら、まんべんなく高校時代を満喫できたと思います。
基礎科のレッスンで印象に残っていることはありますか?
基礎科からは年の離れた方や男性がぐっと増えたので、皆さんといろいろなお話をしたり、エチュードをしたりすることがとても楽しかったし、勉強になりました。皆さんの本気度も高かったので、良い刺激もたくさんもらいました。
初めてのアニメ収録は今も思い出すくらいの緊張感でした
事務所に所属したのはいつですか?
高校1年生の時、基礎科終わりのオーディションに受かって、アイムエンタープライズに所属しました。中学1年生からオーディションを受けてきて、4度目での合格でした。中学2年生の時に最終審査まで進むことができたのですが、それから毎年、あと一歩というところで合格に至らないことが続いて辛かったので、合格と聞いた時は本当に嬉しかったです。
合格できなかった前年までと、合格できた年とでは何が違っていたのだと思いますか?
自分自身のことを客観的に見られるようになったことが大きかったかもしれません。ジュニア声優クラスの頃、クラスメイトは女の子が多くて、男の子のキャラクターができる子が少なかったんですが、私は男の子役をやってみたい気持ちがすごくあったので、男の子役によく選んでいただいてました。なので、自分は男の子役をやるんだと勝手に決めつけていたところがありました。ところが、基礎科の講師の方に女の子の役をやったらいいんじゃない?って言われて、ハッとしたんです。たぶん私は声質にとらわれすぎて、自分自身の声に自信が持てなかったんだと思います。養成所には個性的な声の方がたくさんいるので、女の子の役ならもっと可愛い声じゃなきゃいけないと勝手に思って、自分の声で勝負しようという気持ちが持てていなかったです。そのことに気づいて、声質よりも、何を表現したいのか、何を聞いてもらいたいのか、聞いてくれる人に伝えることを意識するようになったのが変化だったのかもしれません。
デビュー当時の作品で印象に残っているものを教えてください。
デビュー作となった2018年のゲーム『アイドルマスター シャイニーカラーズ(以下、アイマス)』です。やっとスタートラインに立てた気がして本当に嬉しくて、合格の知らせを受けた時は学校で音楽室に行く途中だったんですけど、嬉しくて泣きました。ただ、収録は全然ダメでした(苦笑)。ゲームなので1人での収録でしたし、スタッフの方もすごく優しく教えてくださったのですが、緊張のあまり体に力が入っちゃって声もなかなかうまく出せなくて。ただ、私が演じる櫻木真乃ちゃんは引っ込み思案で緊張しいな役柄だったので、ある意味リアルさが出せて救われたなって感じはありました(笑)。『アイマス』ではお芝居だけでなく、歌、ダンス、ラジオなどといろいろ経験させていただいて、しかも今年はテレビアニメが放送され、何年も携わらせていただけているのが本当に嬉しいです。
『アイマス』と同じ年に、『となりの吸血鬼さん』でテレビアニメデビューも果たされました。
事務所の先輩の篠原侑さんをはじめ、女性が多い現場で皆さんが優しく支えてくださったのですが、頭は真っ白で、立っているのが精いっぱいくらいの緊張感でした。すごく静かな中、心臓がバクバク高鳴って、今でもたまにあの時の緊張を思い出します(笑)。
声優はすべての経験が活きる仕事。普通の生活も大事にしています。
お仕事をするようになって、日ナレで学んだことが活きていると実感することはありますか?
「あなたの好きな声で喋りなさい」「なりたい声で喋りなさい」と言われたことです。その言葉によって、普段から「喋る」ということをすごく意識するようになって、言葉を大切に、キレイに話すことが生活の主軸になったのは、今に活きていると思います。あと、入所してすぐの頃に、「レッスンを休む時は自分で連絡すること」と指導されたことも忘れられません。それまでは母がやってくれるのが当たり前でしたが、自分でやらなきゃいけないことだって思った時に、仕事の基本を教わった気がします。そういう意識が身につけられたことも大きかったです。
ご自身の考える声優の仕事の魅力について教えてください。
私は声優以外でやりたいことがなかったので、これしかないという気持ちでやっていますが、好きだからこそ、仕事だからいいやと割り切ることができなくて、不安になったり、悩んだりすることも多いです。それが辛いところでもありますが、でもやっぱり作品に出て、演じた後の達成感はこの仕事の魅力だと思います。あと、声優になってよりポジティブになれたこともこの仕事を始めて良かったところだと思います。例えば、すごく悲しいとか、悔しいとか、ムカつくことがあっても、「これをいつか絶対にお芝居に変えてやろう!」って前向きに変換できるんです。今はラジオのお仕事もさせていただいていますが、辛い経験をした時も、ラジオでネタにできるかもって思えますし、使わなくても、ただ自分の中に経験として持っているだけでも、人として深みが出て、演技につながるんじゃないかと思います。
経験のすべてが声優の仕事に活きるんですね。
そうですね。高校時代の友達や、違う職業の友達の話を聞くことも大切にしていますし、お芝居を観に行くなど、自分の世界だけでなく、様々なことに触れることも大切にしています。あと、これは母に言われたことなのですが、声優として忙しくなっても、家事など普通に人がやることはできなくてはいけないと。普通の役はもちろん、変わった役をいただいたとしても、感情という部分では突飛過ぎないことも多いので、普通にいろいろなことを経験しておくことは重要だなと思っています。
今後、どんな声優になりたいか教えてください。
とにかくできる限りずっと声優でいたいです。先輩には80歳を過ぎても現役でご活躍されている方もいらっしゃって、とても憧れてます。そして、やっぱりアニメが好きなので、アニメには出続けたいですし、いろいろな役に挑戦して、幅広い役を演じられる声優にもなっていきたいです。お芝居以外では、話すことが好きなので、ラジオもずっとできたらいいなと思いますし、歌もできたら嬉しいですけど、でもやっぱり一番はお芝居ですね。芯があって、皆さんに「関根瞳のお芝居っていいよね」って言っていただけるような存在になれたらって思います。
最後に声優をめざしている方へメッセージをお願いします。
私、「声優マガジン」のインタビューを受けることにずっと憧れていました! 日ナレに通われている方の中には、生徒数も多いし本当に声優になれるのか?って不安に感じている方も多いかと思いますが、「絶対になれる道はある!」ということを私が保証します。講師の方からアドバイスや注意で厳しい言葉をいただいても、前向きに、プラスにとらえることができたら成長していけます。私もそうでしたから! 声優は本当に楽しい仕事で、なってからもずっと夢は終わらないというか、目標をたくさん持つことができます。私も頑張っていきますので、皆さんも一緒に頑張りましょう!
プロフィール
関根 瞳
- 所属事務所
- アイムエンタープライズ
主な出演歴
- アイドルマスター シャイニーカラーズ(櫻木真乃)
- 江戸前エルフ(小金井小柚子)
- 六道の悪女たち(露草水絵)