【声マガ・インタビュー】幸村 恵理

【声マガ・インタビュー】幸村 恵理

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PROFILE

ヴィムスに所属する幸村ゆきむら恵理えりさんは、埼玉県出身の12月6日生まれ。『荒野のコトブキ飛行隊』(エンマ役)、『ほしの島のにゃんこ』(モモ役)、『あひるの空』(吉野役)等に出演。2020年4月放送の『ミュークルドリーミー』では、今井ことこ役で出演。
「インドア派で、YouTubeを見たり、ゲームをしたりするのが大好き」という幸村さん。YouTubeでは、咀嚼音やスライム音、声優の動画などをよく観るそう。「現場で一緒になった先輩からオススメの動画を教えていただいたりしています。声優さんのYouTubeでは、ゲームの実況をしていらっしゃる方もいて、観て楽しんでいます」とのこと。そんな幸村さんに、声優をめざしたきっかけや日本ナレーション演技研究所(以下、日ナレ)で学んだこと、今後の目標について語っていただきました。

がむしゃらに努力して一歩一歩進んでいく毎日でした

【声マガ・インタビュー】幸村 恵理のインタビュー

声優という仕事を意識したのはいつ頃ですか?

私には7歳上と5歳上の姉がいまして、二人は歳が近いので話が合うけれど、私は一人離れているから姉たちの話の内容が理解できなくて、それがすごく辛かった時期があったんです。それで、小学6年生くらいの時に、仲間に入りたくて、姉たちがよく話していたゲームやアニメの声優さんの名前をノートに書いて、どういう人なのか検索して、必死に覚えた記憶があります。

では、声優をめざしたきっかけを教えてください。

ゲームのイベント動画を姉が見せてくれた時、声優さんたちがすごく楽し気に演技されているのを見て、私も詳しくなれば、姉ともっと話ができるんじゃないかって思ったことがきっかけでした。その後、中学生になって、姉をきっかけに知った声優さんについての知識を学校で話していたところ、乗ってくれる友達ができまして。その子たちと話をするうちに、声優になりたいね、なろうよって、夢見るようになりました。

日ナレを選んだのはなぜですか?

一緒に声優をめざそうって言っていた友人が、日ナレのジュニア声優クラスに入っていたんです。私も行かなくちゃと思って親に言ったら、中学3年になる時だったので「受験があるだろう、高校に受からなければ通わせることはできない」って言われまして。それで、高校に合格してすぐ通い始めました。日ナレを選んだのは、レッスンが週1回で、高校に行きながらも通えたことが一番大きかったですね。あと、初めて名前を覚えた声優さんが、系列のプロダクションに所属されている方だったので、日ナレに入れば将来同じ現場に立てるんじゃないかっていう思いもありました。

入所した頃の日ナレの印象について教えてください。

養成所の皆さんが大きな声でご挨拶されているのを見て、すごくしっかりしている養成所だなって。あと、私がクラスの中では一番年下で、15歳上の方もいらしたので、友達よりも一足先に大人の世界に入ったような感覚ですごく緊張したこと、それから、講師が第一線で活躍されている方だったので、胸の高鳴りを感じたことを覚えています。

【声マガ・インタビュー】幸村 恵理のインタビュー

基礎科のレッスンで印象に残っていることはありますか?

ロングブレスなど基礎の基礎から教えていただいたんですが、全然できてないぞって注意されて、必死に練習する毎日でした。かつ舌が悪くて、言えない言葉を何度も練習して、でも全然できなくて、母の前で泣き崩れたこともありました。ただ、一生懸命練習していると、できなかったことができたっていう瞬間があって、それがすっごく嬉しいんですよ。諦めなくて良かったって思えるから、また次に課題が見つかった時も、一生懸命練習して。一つひとつ、できなかったことができるようになっていくのが楽しかったですね。

本科はいかがでしたか?

基礎科の後半になるにしたがって、講師に褒められることもあり、本科に上がった時は、自分の中に変な自信が生まれて、ちょっと天狗になってしまっていたんです。ところが本科の講師に「演技が全然できていない、腹式呼吸すらできていない」と言われてしまって。何度やっても、「できていない」と言われ続けて、8月頃、さすがに心が折れて、母の前で「声が出ていないって言われる」って大号泣したら、母に「出てないからでしょ」ってあっさり言われて。その時、ふと、自分は今まで本気で声を出していなかったんじゃないかという思いに至ったんです。それで、次のレッスンの時に、これでもかっていうくらい思いっきり声を出したら、講師に「それだよ」って言われて。嬉しくて涙が出そうだったんですけど、講師には、「でも、それだけじゃダメだ。声がただ出ているだけでまだ芝居になっていない。ようやくスタートラインに立ったんだから、これからが本番だ」って言われまして。それからは、レッスンで注意されたことをノートに書いて、二度と同じことを言われないように、がむしゃらに努力して、そうして一歩一歩進んでいく毎日でした。本科の1年は、落ち込んだし、辛いことがいっぱいあったけど、自分が全然ダメだということを突きつけられて、自分が過信していたことや、努力を自分のものさしで測っていたことに気づけたし、自分が下手だという気持ちを心のどこかに持っていないと成長できないことを学べたので、本当にためになりました。謙虚でいることって大事なんだなって、それはプロになった今も、自分の一番の軸になっています。

焦りと不安を力に変えて、オーディションに合格!

【声マガ・インタビュー】幸村 恵理のインタビュー

講師に言われたことで印象に残っていることはありますか?

本科で学ぶ舞台芝居は体全体で表現しなければいけないんですが、声を出すと体が動かなくなってしまうし、体で感情を表現しようとすると声が出なくなってしまって。その時、講師に「無意識を意識化しなさい」って言われたんです。体が動かなくなっているのは無意識の行動ではなくて、脳が意識的にこうしようと判断しているからだと。だから無意識を意識して動けるようにしなさいと。それができるようになるまでには、だいぶ時間がかかりましたが、今も役に立っています。

研修科はいかがでしたか?

待ちに待ったマイク前のレッスンが受けられるので、楽しくて仕方ないだろうなって予想していたんですが、今度は、本科で習った舞台の芝居とマイク前の芝居は違うという壁にぶつかりました。ある日、マイク前で小さな声の芝居をした時、「声がこもっている」と言われてしまって。どうしたらいいのかわからなくて悩んでしまったのですが、ある時、「お腹から声を出す」ことを忘れていたことに気づいたんです。基礎科で学んだお腹を使うこと、本科で学んだ声を出すことは全部つながっているはずなのに、違うものだと私は区別してしまっていたんですね。そこからまたやり直し(笑)。口先だけの演技では人に伝えることはできないってことを身に染みて感じたので、たとえ小さな声でも、お腹から声を出して感情も込めるということを意識するようになりました。

事務所に所属したのはいつですか?

研修科1年目の時の所内オーディションに合格して、ヴィムスに所属しました。

【声マガ・インタビュー】幸村 恵理のインタビュー

合格した時の気持ちを教えてください。

ちょうど高校を卒業する時だったので、本当に嬉しかったです。というのも高校2年の時に、本当に声優になれるかどうかわからないし、すごく不安になって、大学に行っておいたほうが将来的に安全かなって考えた時期があったんです。でも、私は他の職業でなりたいと思えるものがなかったし、大学に行ったら自分の性格上、きっと甘えが出て、声優になるための努力を怠ってしまうような気がして、覚悟を決めて進学しないことにしたんです。それに加えて、おばあちゃんが高校3年の9月に亡くなってしまって。おばあちゃんは私のことをずっと心配してくれていて、本科の終わりの所内オーディションで1次審査にも合格できなかった時には、「もう諦めなさい」って言われたんです。だからおばあちゃんに、「なれたよ」って絶対報告したくて。焦りと不安を力に変えて頑張ったので、合格できたのはおばあちゃんのおかげだなって思っています。

初めての収録現場のことを覚えていますか?

所属して2カ月後くらいにいただいた、アプリゲームのお仕事でした。プレッシャーですごく緊張してしまったんですが、ディレクターさんが優しくて、「良かったですよ」って言ってくださって。でも、私は「こんなんですみません」って謝ったんです。そうしたら、その後、一緒にいたマネージャーさんに叱られまして。「私はあなたならできると思ったからあなたを選んで出演させたのだし、あなたは会社を背負って出演しているのだから、自分に責任を持たなければいけない」って。確かにそうだなって。謙虚なだけではダメで、プロとしての自覚を持たなくちゃいけないって強く感じました。

声優の仕事には、何ものにも代えがたいワクワクが詰まっている

【声マガ・インタビュー】幸村 恵理のインタビュー

デビュー当時の作品で最も印象に残っているものを教えてください。

デビューから2年目、初めてオーディションでいただいた、アニメ『荒野のコトブキ飛行隊』のエンマ役です。オリジナルアニメーションだったので、どんなキャラクターなのかわからない状態でスタートしたんですが、共演者やスタッフの皆さんと一緒に作り上げていく感覚に、声優になったんだってすごく実感できて嬉しくて。戦闘機に乗るという経験したことのないことを表現しなくてはいけないし、キャラ作りもすごく悩んだんです。でも、視聴者の皆さんからエンマちゃんのことを「カワイイ」とか「好き」って言ってもらえて、自分がやってきたことが間違いじゃなかったって認められた気がして、何とも言えない幸せな気持ちになりました。この作品では収録の他に、ラジオや顔出しの仕事など、初めての経験もたくさんさせていただいて、いろいろなことを学ばせていただきました。

収録現場で印象に残っているエピソードはありますか?

アニメ『ほしの島のにゃんこ』は、アドリブがすごく多くて、どうしたらいいかワタワタしてしまったんです。その時、共演者の方から、「おもしろいことをやろうとしなくていいんだよ」とアドバイスをいただいて。あと、小手先だけで演じても意味がないこと、現場には常に150%の準備をして臨むことなど、本当に多くのことを学ばせていただいた現場でした。

ご自身が考える声優の仕事の魅力について教えてください。

いただいた役一人ひとり、制作者さんが一生懸命考えて作り上げたものなので、どれもこれも素敵で、それに私たちは声というほんの少しのお手伝いをさせていただいているんですが、声が違うだけで伝わり方はだいぶ変わるし、その役に寄り添って演じるのは本当に楽しくて魅力的だなって思います。しかも、子どもだったり、お嬢様だったり、実際に自分がなり得ない役柄を表現することもできますからね。声だけで表現するのは職人技だと思うし、何ものにも代えがたい楽しさやワクワクが詰まっている仕事だなって思います。

【声マガ・インタビュー】幸村 恵理のインタビュー

今後、どんな声優になりたいですか?

私が演じさせていただいている、ゲーム『アイドルマスター シャイニーカラーズ』の黛冬優子ちゃん宛てにファンレターをよくいただくんですが、「冬優子ちゃんを知って、私ももっと頑張ろうって思いました」っていうお手紙を頂いて、すごく嬉しくなりました。以来、私が褒められるよりも、私が演じるキャラクターを好きって言ってもらえたり、誰かの励ましになれたりするような、愛されるキャラクターを演じられる役者になりたいと思っています。悪役でも愛されたりするじゃないですか。それは魅力があるからだと思うし、悪役を演じて私が嫌われたら、それは作品に貢献できているってことですから、そんなふうにどんな役であっても、影響を与えられる声優になりたいですね。

最後に声優をめざしている方へメッセージをお願いします。

日ナレ時代もプロになってからも悩むことは本当に多くて、くじけそうになることが絶対あると思います。私は目が腫れるくらい泣きました。でも、泣いてもいいから諦めないでほしいです。夢は必ず叶うとは言えませんが、努力はどんな形であれ、絶対報われます。頑張った経験は自信や成長につながるし、何より、ひたむきにやりたいことに全力を注げるのは、幸せなことだと思うので、前を向いて、追求し続けてほしいと思います。

プロフィール

幸村ゆきむら 恵理えり

所属事務所
ヴィムス

主な出演歴

  • ミュークルドリーミー(今井ことこ)
  • 荒野のコトブキ飛行隊(エンマ)
  • ほしの島のにゃんこ(モモ)

幸村 恵理

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