【声マガ・インタビュー】白城 なお

【声マガ・インタビュー】白城 なお

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PROFILE

アーツビジョンに所属する白城しらきなおさんは、石川県出身の12月30日生まれ。『約束のネバーランド』(チェンバレン役)、『Butlers~千年百年物語~』(東埜日菜子役)、『ようこそ実力至上主義の教室へ』(白波千尋役)等に出演。2020年4月放送の『球詠』では、川口芳乃役で出演。
大の巨人ファンである白城さんは、東京ドームの立ち見席で一人で応援に行くことも。好きな選手についてどこが好きなのか尋ねてみると、「構え方のフォームがすごくカッコイイ」「めっちゃ崩しながら打つところ」「お尻の角度がすごくキレイ」等、通なコメントが続々。そんな白城さんに、声優をめざしたきっかけと日本ナレーション演技研究所(以下、日ナレ)で学んだことや、今後の目標についてお話していただきました。

自分だけの「特別の部屋」で、芝居の練習に没頭

【声マガ・インタビュー】白城 なおのインタビュー

声優という仕事を意識したのはいつ頃ですか?

姉が2人いるんですが、2人とも大のアニメファンで、私が幼稚園や小学校低学年の時に、子ども向けのアニメを観ていると、「この声優さんとあのキャラの声優さんは同じなんだよ」って教えてくれて。なので、物心がついた時には頭の中に“声優”という職業がインプットされていました。

では、声優をめざしたきっかけを教えてください。

中学を卒業した後、就職して社会に出たんですが、ある時、「このままでいいのかな。何かちゃんとめざすものを決めたいな」って悩んだ時期があって。それで、好きだったアニメを観ていた時、声優さんの演技にすごく惹かれて私もこの世界に入りたいって思ったんです。それからすぐに学べる所を調べて日ナレに通うことに決めました。

日ナレを選んだ理由を教えてください。

グループプロダクションに私が好きな声優さんがたくさん所属されていて、日ナレに通えばそのプロダクションに入れる可能性があるということが決め手でした。

ご両親には反対されませんでしたか?

「やりたいことがあればやれ」と言ってくれました。ただ、石川県に住んでいたので、上京して代々木校に通おうと考えたんですが、父から「さすがに心配なので、まず東京に行って、10日間でもホテルに泊まって、東京の街や日ナレの前を歩いてみて、やっていけるかどうか、自分でちゃんと確認してからにしてほしい」と言われました。

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東京はどうでしたか?

初めての東京だったので、羽田空港に着いた時からドキドキだったんですが、すっごく楽しかったです。日ナレの建物を見に行った時も、「ここでレッスンしてるんだ、私も早く通いたい!」って胸が高鳴って。それで実家に戻ってすぐ、親に「入所面接受けます!」って伝えました。

入所した頃の日ナレの印象について教えてください。

私の好きな声優さんは、マルチに活躍されている方が多かったので、私も演技だけでなく、歌とダンスも学べたらと思って週3回クラスに通いました。やりたいと思っていたことをどんどんやらせてもらえて、本当に楽しかったです。あと、私はクラスの中で一番年下だったんですが、クラスメイトからいろいろなことを教えてもらって、それもすごく楽しかったです。

当時の生活パターンを教えてください。

上京と同時に、通信制の高校にも行き始めたので、高校のレポートをやりながら、アルバイトしながら、週3回レッスンに通っていました。忙しさよりも好きなことができているから楽しさのほうが大きかったですね。私は練習するのが大好きなんです。講師の方に「考えながらちゃんと外郎売をやると基礎が身につく」と教えていただいたので、一生懸命やって、お昼くらいに始めて気づいたら外が真っ暗という日もよくありました(笑)。

一人暮らしは不安ではなかったですか?

風邪をひいたり、帰ってもご飯がなかったり、そういう時は実家に住んでいる人をうらやましく思いましたね。それに実家の人は、家賃がかからないし、光熱費もかからないし、いいなって。その反面、一人暮らしだからこそ、いつでも練習できたり、やりたいことが自由にできたり、時間も自由に使えるので、自分だけの「特別の部屋」だと考えて、一人暮らしを楽しみました。

現場で改めて感じる基礎の大切さ

【声マガ・インタビュー】白城 なおのインタビュー

基礎科のレッスンで印象に残っていることはありますか?

感情解放のレッスンがあった時、恥ずかしがり屋な私は、なかなかうまくできなくて。クラスメイトの中にはお芝居の経験者もいて、そういう人の圧巻の演技を見ると、「自分の全然ダメな演技を見せても大丈夫なの?」って思っちゃって、最初の頃はすごく委縮していました。

どうやって克服したんですか?

クラスのみんなから「もう少しこうしたほうがいいよ」とかアドバイスをもらって試行錯誤しているうちに、だんだん人前で感情を出すことに慣れていきました。何より、良かった時は講師はもちろん、クラスメイトみんなが褒めてくれたので、褒められたいっていう気持ちもあって、どんどん出せるようになりました。

ボーカルのレッスンはいかがでしたか?

歌は好きだったから、自分としてはそんなに下手ではないだろうと思っていたんですが、クラスにはうまい人がたくさんいて、頑張らなきゃって思う毎日でした。発声からちゃんと教えてもらえたので、多少はうまくなれた気がします(笑)。

ダンスのレッスンはいかがでしたか?

体が本当に硬くて、ストレッチが苦手で。みんな顔が脚にぺたんとつくのに、私だけ前に設置された鏡の中の自分と見つめ合っちゃう状態で(笑)。でも毎日家でやるようにして、少しずつ、柔らかくなっていきました。当時教えてもらったストレッチは、今も続けています。

本科は舞台形式のレッスンが多くなりますが、いかがでしたか?

一つの作品をみんなで作るレッスンが多かったので、一緒に掛け合いの芝居をすることがとても楽しかったです。何人かでお芝居を作っていくと、ちょっと考えがズレたり、反発しあったりということも起きてしまうんですが、その都度みんなで話し合って、すり合わせて乗り越えることができました。

研修科はいかがでしたか?

マイク前のレッスンをするようになり、技術的なことを学べて楽しかった反面、難しさも感じました。

事務所に所属したのはいつですか?

研修科1年目の時の所内オーディションに合格して、アーツビジョンに所属しました。

合格した時の気持ちを教えてください。

オーディションを受けた時、手ごたえが全くなくて。もっとああしておけばよかったとか反省点がかなりあったので、オーディションが終わった瞬間から「来年、頑張ろう!」って思っていました。だから合格の通知を受け取った時は「嘘でしょ!」って(笑)。しかも通知をいただいた日に、一番上のお姉ちゃんの妊娠がわかって、真ん中のお姉ちゃんも大学の卒業式の日で、いいことづくめのハッピーな日になりました。

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初仕事の現場はいかがでしたか?

所属して1カ月くらい経ってからいただいたアプリゲームが初仕事だったんですが、まだまだ未熟だけど自分の声が世に出るありがたさと、やっと現場を経験できる幸せを噛みしめて臨みました。でも、それ以降の現場のことはだいたい覚えているんですが、初仕事のブース内のことだけは何一つ覚えていないんです。きっと相当緊張していたんだと思います(笑)。日ナレのレッスンはいい意味で失敗していい場だと思っています。失敗してどんどん学んでいく。でも現場は、プロとして失敗できないっていう考えがすごくあって、それがまた緊張につながったんだと思います。

デビュー当時の作品で最も印象に残っているものを教えてください。

デビュー3年目の時に、初めてレギュラーで出演させていただいたテレビアニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ』です。そんなにセリフがある役ではなかったんですが、準レギュラーで、原作にも登場していて、キャラクターデザインが完全に決まっている役柄は初めてだったので、緊張しすぎて痰がからまりまくってしまって(笑)。当日、台本の直しが入ったりもするんですが、慣れていない私は、音響監督さんの指示を台本に書きとめるのが間に合わなくて、修正の書き込み方もわからないし、あたふたしてしまって。隣に事務所の先輩のLynnさんがいらしたので、盗み見しながら、書き写してました(笑)。

お仕事をするようになって、日ナレで学んだことが活きていると実感できることはありますか?

基礎って本当に大事なんだなってしみじみ感じています。自分がどれだけこういうふうにしたいって想像できても、基礎がないと思うような音が出せないということが本当にたくさんあるんです。だから基礎科からちゃんと入って、家で外郎売を暗くなるまで練習し続けてきて、本当に良かったなって思っています。芝居にゴールはないので、未だに日ナレで教わった基礎練習は続けています。

たくさんのことを経験して、深みのある役者に

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ご自身が考える声優の仕事の魅力について教えてください。

例えば、実際は全く涙を流していないのに、すごく涙を流している芝居をされる先輩とか、声だけで感情を表現できるってなんて素晴らしいんだろうって感じています。私はすごい音フェチなんです。だから現場でいろいろな声優さんの声を聞けるのもすごく嬉しくて。あと、皆さんおっしゃっていることだと思いますが、声優は俳優以上に演じられる役柄が多いのも魅力です。ついこの前も、私、赤ちゃんを演じたんです。ガヤの赤ちゃんも多い作品だったので、みんなでブースの中に入って、「オギャーーー!」って。ものすごいシュールな世界だなと思いつつ、誰もおかしいって笑わずに、真剣に赤ちゃんを演じているのがすごいなって、それがすごく楽しくて。プロになる前から声優の仕事って楽しそうだなって漠然と思っていたけれど、実際に声優になった今、こういった体験を通して現場の楽しさをリアルに感じることができています。

今後、どんな声優になりたいですか?

中学生の時の日記に、「中学を卒業して高校を出たら、お金を稼いで、美容師になって、自分の美容院を建てて、いろいろな人に来てもらって、みんなを笑顔にしたい」って書いていたんです。でも、誰かを笑顔にしたいという気持ちは今も変わらなくて。だから求められることは何でもできるようになりたいって思っています。そして将来的には、もっとたくさんのことを経験して、蓄積して、いろんな想像ができる深みのある役者になりたいです。

【声マガ・インタビュー】白城 なおのインタビュー

最後に声優をめざしている方へメッセージをお願いします。

声優になりたいと思っている人の中には、自分の声を褒められたことがないとか、無個性だからとか、経験がないからといった理由で、諦めようかなって悩んでいる人がいるかもしれません。私も日ナレに通い始めた頃、バイト先で「今、何て言った?」って聞き返されるくらい滑舌が悪くて、大きな声で喋れなかったし、声もダミ声みたいでした。でも日ナレでちゃんと学んでいくことで、どんどんスキルアップして声優になることができました。だから自分なんかって思わずに、諦めないで頑張ってほしいです。好きだったらとことん楽しんで練習できると思うし、きっと伸びると思いますから。

プロフィール

白城しらき なお

所属事務所
アーツビジョン

主な出演歴

  • 球詠(川口芳乃)
  • Butlers~千年百年物語~(東埜日菜子)
  • 約束のネバーランド(チェンバレン)

白城 なお

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