【声マガ・インタビュー】依田 菜津

【声マガ・インタビュー】依田 菜津

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PROFILE

アーツビジョンに所属する依田よりた菜津なつさんは、三重県出身の2月13日生まれ。『恋する小惑星』(鈴矢芽役)、『スター☆トゥインクルプリキュア』(天宮たくと、天宮いくと役)、『血界戦線 & BEYOND』(オリガ・ストリアロフ役)等に出演。2020年2月放送の『ヒーリングっど♥プリキュア』では沢泉ちゆ/キュアフォンテーヌ役で出演。
小学生の時からパソコンが大好きで、高校、大学でITを学び、国家資格である応用情報技術者試験に合格している依田さん。今はiPadで絵を描くことにハマっているそうで、「専用のペンで無心に色を塗ることがストレス解消になっている」と微笑みます。そんな依田さんに、声優をめざしたきっかけや日本ナレーション演技研究所(以下、日ナレ)で学んだこと、今後の目標について語っていただきました。

きっかけはキャラクターが歌うエンディングテーマ

【声マガ・インタビュー】依田 菜津のインタビュー

声優という仕事を意識したのはいつ頃ですか?

中学生の時、アニメ『テニスの王子様』に夢中になって、レンタルして一気に観ていた時期があったんですが、ある時、エンディングテーマをキャラクターが歌っていることに気づいてビックリして。物語の中だけに存在していたキャラクターが、作品のエンディングテーマを歌っているんですからね。歌を歌っているということは、キャラクターの声を演じている人がいるんだっていうことに気づいて、そこから声優の存在を知りました。

では、声優をめざしたきっかけを教えてください。

声優の存在を知って、憧れをもつようになり、声優科がある高校などを調べて資料を取り寄せたりしていたんですが、田舎に住んでいたので東京の全日制の学校は、全く現実的ではありませんでした。叶わない夢を見ている場合じゃないと思って、好きだったITを学ぶために、商業高校に進学して、さらに、システムエンジニアとかITコンサルタントになれたらいいなと思って大学に進学しました。その後、大学に入って少し経った時に、ふと声優になりたかったことを思い出して。後悔したくないし、学生のうちにいろいろなことをやっておきたいと強く思い、声優の養成所を検索しました。

【声マガ・インタビュー】依田 菜津のインタビュー

日ナレを選んだ理由を教えてください。

日ナレのホームページを見た途端、夢をめざすための現実的な方法が目の前に舞い降りた! って思いました。当時、実家から名古屋の大学に通っていたんですが、日ナレは名古屋校が存在し、通学のための定期で通えるし、しかも、私のバイト代でも払える受講料で、レッスンも週1回だから大学生活と両立しながらめざせる。私はパソコン好きで、理屈っぽいところがあって、現実的じゃないことは全部排除する性格なのですが、これなら行ける! と。とにかく通ってみて、大学在学中に事務所に所属できなかったら諦めようと決めました。

個性は作るものじゃない。消しても消えないのが個性

【声マガ・インタビュー】依田 菜津のインタビュー

入所した頃の日ナレの印象について教えてください。

私はお芝居の経験が一切なかったので、まず、人前に立って表現することの恥じらいや緊張がありました。でも、クラスメイトがみんなイキイキしていて明るかったので、みんなに引っ張られて、次第にのびのびとできるようになって。特に、私たちは7月入所の7月生で、しかも名古屋校ということで、4月生にも東京の人たちにも負けないぞっていう気持ちもあって。お互いに高め合っていけるやる気満々のクラスメイトたちと一致団結して、切磋琢磨していました。

レッスンで印象に残っていることはありますか?

基礎科のレッスンで、講師の方に「右手で重たい荷物を持っているつもりで歩いてください」と言われた時のことは今でも忘れられません。みんな右肩を下げて歩いたんですが、実際、重い物を持った時は腰を入れるので、右肩は上がるんです。クラスメイトの中で、これができたのは2人だけ。もちろん、私も右肩を下げていました。この時のことはプロになった今でもよく思い出すんです。というのも、マイク前では走るにせよ、転ぶにせよ、実際にその動きをしなくても、それに伴った声が出せなくてはいけないので、イメージをきちんと体感として作り出さなければなりません。リアルに自分で作り上げないと、観る人の心に届かないんです。

講師の方に言われたことで印象に残っていることはありますか?

研修科の時、みんなが自分の個性とは何だろうとか、自分の売りは何だろうと考えるようになって、私もそんなにかわいい声を持っていないし、特徴的な低い声でもないしと悩み始めてしまったんです。そんな時、講師の方に「消しても消えないのが個性だ」って言われて、すごく腑に落ちました。個性というとみんな作る方に考えるけど、全部取り払って、最後に残るものが個性なのかもって。だから研修科の終わりに受けた所内オーディションでは、声を作らずに、ありのままの落ち着いたトーンで臨み、結果、アーツビジョンにご縁がつながり所属することができました。

【声マガ・インタビュー】依田 菜津のインタビュー

合格した時の気持ちを教えてください。

実は、大学の活動にも力を入れていた時期だったので、正直、最初はどうしようって悩みました。日ナレの事務局の方に相談したら、「声優になりたいなら応援するし、社会人として企業で働きたいなら、それもあなたの道だから、やりたいことをやればいい」って言ってくださって、その言葉はすごく嬉しかったし、励みになりました。それで、やっぱり自分の一番の夢は声優になりたいっていうことだと思って。ただ、親に大学の学費を出してもらっているし、自分が望んで入った大学で、自分が望んで教職課程も履修していたので、大学の単位はきちんと取って、それから上京しようって決めました。親は、私が日ナレに通っていることを、習い事程度にしか考えていなかったので、「声優になるために上京したい」と告げた時は唖然としていましたけど(笑)。姉に至っては「何言ってるの?」って笑われました(笑)。

大学との両立は大変ではありませんでしたか?

私はあれもこれもちゃんとやろうとしてしまう性格で、大学も日ナレも全部一生懸命やりたかったので、すっごく大変でした。でも結局、研修科の時にパンクしてしまったんです。教職課程も履修していたし、副ゼミ長にも任命されちゃって今まで以上に大学も大変になっていて。日ナレではよく「レッスン以外の6日間をいかに過ごすかが勝負」って言われるんですが、それも全然できなくなってしまって。そんな時、講師の方に「そればっかりは仕方がない。できないなら、レッスン以外の1日だけ、しっかりやる日を決めて、あとの日は割り切って学業に専念すればいい」って言われたんです。なるほど、そうかもしれないと思って、レッスンの前日に、課題やお芝居の勉強を全力でやるようにして、その他の日は大学に集中しました。結局、それが自分に合っていたみたいで乗り切ることができました。

誰かの一生の宝物になるようなお芝居がしたい

【声マガ・インタビュー】依田 菜津のインタビュー

デビュー当時の作品で最も印象に残っているものを教えてください。

アニメの初現場だった『エンドライド』です。連絡をいただいた時、名前のある役だと聞いて、「えーーー?」って驚いて、台本を見たら、わりとセリフがあるので、さらに驚いて(笑)。先輩の方との掛け合いだったのですが、緊張し過ぎてリテイクになってしまって。リテイクになると私一人だけの収録で、掛け合う相手がいなくなるので、今度は会話が成り立たなくなってしまって、どんどん早口になって、尺も合わなくなって、ドツボにハマっていって。「自分は全然できない! 課題が山積みだ!」って、打ちのめされました。

ターニングポイントになった作品はありますか?

海外ドラマの『レイヴン~少女とポニーの物語~』です。この時の私は、外画や海外ドラマに少しずつ出演させていただけるようになっていました。でも、この作品での役はとにかくセリフがいっぱいあって、どうしようってすっごく不安で。でも、「依田がいい」とこの役に起用してくださったんだから、その期待に応えたいと思って台本チェックなどもたくさん時間をかけて自分なりに全力で臨みました。そうしたら、まわりからも良い反応を頂けて。セリフが多かった分、すごく勉強になったし、自分の下地になったし、自信にもつながりました。

ご自身が考える声優の仕事の魅力について教えてください。

他人の人生を歩めることですね。海外ドラマの『アレクサ&ケイティ』で主役のアレクサ役を演じさせていただいた時のことなんですが、アレクサは白血病ながら、自分がやりたいことにちゃんと向き合って前に進んでいく女の子で、そこには支えてくれるかけがえのない家族と親友がいて、いっぱい愛情をもらっていて。そういう素敵な人生を、アレクサを通じて疑似的に体験できたことがとても幸せで、今後もずっと忘れられない作品になっています。

声優になって良かったと思った経験はありますか?

アニメ『HUGっと!プリキュア』に関わらせていただいた時、「なんでもできる!なんでもなれる!」っていうキャッチコピーにとても心が躍って、いつか私もプリキュアを演じてみたいってすごく憧れたんです。それまで、現実的でないことはなるべく避けて生きてきた私が、初めてそういうこと抜きに純粋に夢を描いた瞬間でした(笑)。でも、なんとその後、ありがたくも『ヒーリングっど♥プリキュア』で、キュアフォンテーヌ役に選んでいただけまして! 声優になってから、何度もくじけそうになったり、やめようかなって思ったりしたことがありましたが、続けてきて本当に良かったなって、やめなくて良かったな、頑張ってきて良かったなと思いました。

【声マガ・インタビュー】依田 菜津のインタビュー

今後、どんな声優になりたいですか?

誰かの一生の宝物になるようなお芝居をしたいなって思っています。私自身、大好きな物語や、好きなセリフや登場人物が、私の人生をすごく明るくしてくれたので、私もそんなふうに誰かの胸にずっと光るような、そういう存在になれたらなと。そのためには、本当にそのキャラクターが生きているようなお芝居ができないといけないと思うので、まずは一生懸命、努力します!

めざす声優になるために、心がけていることはありますか?

私は、常に心を揺らして生きていこうと心がけています。社会で生きていると、自分の感情を押し込めなければいけないことって多いですよね。でも、お芝居は感情を解放するものだから、意識的に、その時その時感じたことにまっすぐな感性で向き合い、大事にしなければって思っています。

最後に声優をめざしている方へメッセージをお願いします。

日ナレは、私みたいに学校に通いながらだったり、仕事をしながらでも、学びたい人が通いやすい環境なので、思い切って飛び込んでくださいっていうことをまずは伝えたいですね。あと、夢をめざす途中には、つらいこともたくさんあると思います。そんな時に自分を支えるのは、好きという感情だと思うんです。だから行き詰った時には、自分が何が好きで、どういうことに心が躍って、どういうことに胸がときめいたのか思い出して、前を向いてほしいと思います。好きなことは一生懸命できると思うので!

プロフィール

依田よりた 菜津なつ

所属事務所
アーツビジョン

主な出演歴

  • ヒーリングっど♥プリキュア(沢泉ちゆ/キュアフォンテーヌ)
  • 血界戦線 & BEYOND(オリガ・ストリアロフ)
  • スター☆トゥインクルプリキュア(天宮たくと、天宮いくと)

依田 菜津

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