【声マガ・インタビュー】永塚 拓馬

【声マガ・インタビュー】永塚 拓馬

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PROFILE

アイムエンタープライズに所属する永塚拓馬さんは、神奈川県出身の10月4日生まれ。
『アイドルマスターSideM』(冬美旬役)、『活撃 刀剣乱舞』(こんのすけ役)、『Butlers~千年百年物語~』(青葉蛍役)等に出演。2019年4月放送の『KING OF PRISM‐Shiny Seven Stars‐』では西園寺レオ役で出演。
日本だけでなく海外のバンドも愛聴していて、ご自身でもエレキギターを弾くという永塚さん。最近一目惚れで新しいギターを購入したそうです。そんな音楽を聴くのも演奏するのも大好きな永塚さんに、声優をめざしたきっかけと日本ナレーション演技研究所(以下、日ナレ)で学んだことや、今後の目標についてお話していただきました。

断ち切れなかった演じることへの想い

【声マガ・インタビュー】永塚 拓馬のインタビュー

声優という仕事を意識したのはいつ頃ですか?

小学4年生か5年生の頃だと思います。テレビのバラエティ番組に、ある声優さんが出演されていて、その時に初めてアニメのキャラクターに声をあてている人がいることを知りました。ただし、この時点ではまだ声優という職業に興味はありませんでした。

では、声優をめざしたきっかけを教えてください。

中学2年生の時に、文化祭の出し物として行われたお芝居に演者として出演したのですが、この時に「演技って面白いな」と感じたのが、声優を含む役者という職業に興味を持ったきっかけだったと思います。

高校では演劇部だったそうですね?

はい。まだ役者になりたいとは思っていませんでしたが、演技をしたくて仕方ありませんでした。なので、進学するにあたっては強い演劇部がある高校を選びました。

実際に入部してみていかがでしたか?

部員は全員で70人くらいいました。ただ、中には裏方志望で入部した人もいて、みんながみんな、演技に興味があるというわけではありませんでした。

日ナレの存在を知ったのはいつですか?

高校の頃から知ってはいました。ただし、部活が忙しかったので、実際に通うところまではいたりませんでした。

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では通おうと思ったのは?

高校卒業後、いったん就職活動をして公務員になった後です。実は就職後、趣味で地元のミュージカル劇団に入ったんです。公務員になると決めた時に、自分の中の演技が好きだという思いを消し去ろうとしたのですが、どうしてもできませんでした。当時の僕は、そんなくすぶっている自分の気持ちをぶつけられる場所を探していました。日ナレに通ったのも、「挑戦もしないで諦めるのは納得がいかない、挑戦したうえでしっかり決断しよう」と思ったからです。

なぜ日ナレを選んだのですか?

横浜駅にある日ナレの広告を見て決めました。ほぼ、直感です。もしあの広告が無かったら、違う養成所に入所していたかもしれません(笑)。それと社会人でしたので、週1回クラスがあったのは、都合が良かったです。

公務員を辞めてまで選んだ声優の道

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実際に入所してみていかがでしたか?

高校の頃の演劇部に戻ってきたような感覚がありました。「帰ってきたぞ」という気持ちとでも言えばいいのでしょうか。僕は横浜校だったのですが、地元の人が多かったせいもあって、和気あいあいとしたアットホームな雰囲気でした。年上の受講生の方も、みなさんフランクに接してくれたので心地よい空間でした。

基礎科の講師はどんな方でしたか?

講師の方は、仕事だと割り切ってレッスンを行っている感じがせず、役者である前にひとりの人間として、僕たちに接してくださる方でした。そして将来プロとして活躍できる声優を育てようと思ってくれているのが、感じ取れました。僕の中で養成所の講師とはもっとドライな方々だと勝手に思っていたのですが、基礎科の講師の方は、イメージしていた講師像とはまったく違いました。自分にとっては優しい先輩のような存在であり、同時に尊敬する師匠のような人です。

高校時代に演技の経験がある永塚さんは、基礎科のレッスンをどのように捉えていましたか?

僕が経験した舞台は、基礎的な訓練よりも表現そのものを重視する傾向が強かったので、滑舌や呼吸法についてはあまり指摘されることがなかったんです。ですが、声優はそうはいきません。なので、1年目は基礎を一からすべてやり直す、そんな気持ちでレッスンに臨んでいました。

本科のクラスには、どのような印象を持たれましたか?

すでに目標を定めているクラスメイトの方がほとんどだったので、個々人がしっかりと自分の向かうべき方向に対して集中しているな、と感じました。

講師の方から教わったことで覚えていることがあったら教えてください。

本科では舞台形式でのレッスンが中心になるのですが、講師の方は、舞台上での立ち位置と演技の自然な流れを大切にされる方でした。高校の演劇部の時は、自由に舞台の上を動いていたのですが、本科ではお客さんから見た時、役者がどこに立つのが一番効果的なのかを意識するように教えていただきました。また、セリフひとつとっても、発する言葉が理にかなっているか、その状況で、そのセリフを口にすることが不自然ではないか、要するに物語の中で筋が通っているかどうかを気にかけるように教えていただきました。

「必然性のある演技を意識する」ということでしょうか?

そういうことだと思います。筋道立てて理論的にお芝居を組み立てることを教えていただけたのは、とても勉強になりました。

研修科ではいかがでしたか?

研修科の講師の方はとても感情を大切にされる方でしたので、「もっと感情を解放しなさい」と常に指摘をいただいていました。

レッスンをとおしてご自身が成長できたと実感できることはありましたか?

周囲の方が「良かったよ」とおっしゃっていただけて初めて「そうなのかな」と思える、そんな感じです。日ナレでは、講師の方からダメ出しされた際、課題を持ち帰ってひたすら練習をして、1週間後に自分が考えてきた成果をレッスンで発表していました。それでもまた「違う」と指摘されたら、家に持ち帰って練習。そんな日々の繰り返しでした。

文字通り自分との戦いですね。

カラオケボックスで自分の声を録音して「こんなんじゃない!」「これは違う!」とうなりながら転げまわっていました(笑)。たまたま通りかかった人がそんな僕を見たら、明らかに変なヤツにしか見えなかったでしょうね(笑)。

事務所に所属したのはいつですか?

基礎科の終わりの所内オーディションで合格して、アイムエンタープライズに所属しました。

合格した時の気持ちを教えてください。

もちろん嬉しかったのですが、それよりも不安と恐怖の方が上回っていました。業界や事務所といった、自分を囲むものすべてを恐れていました。少しでも間違ったことをしたら、声優人生が終わるんじゃないかとすら思っていました。それもこれも僕が正確な情報を持っていなかったから、勝手に自分の中でイメージを膨らませていただけなんですが(笑)。

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ご家族は賛成してくださいましたか?

事務所に受かったので公務員を辞めると母に伝えると、「あなたが何を考えているのかわからない。これからどうしていくつもりなの?」と言われました。この時は誰ひとり、僕の決断を支持してくれる人はいませんでした。

気持ちは揺らぎませんでしたか?

迷いはありませんでした。この時は、自分の今まで抱えてきたすべてを捨てるくらい強い覚悟で決断しました。「自分はいったん死んだんだ。これからは新しい自分だ」と、崖から飛び降りる思いで声優の道を選びました。

事務所に所属した後の、生活サイクルを教えていただけますか。

ほぼバイト漬けの毎日でした。残りの休みの日は、ダンボールを使って防音にした自分の部屋にこもってひたすら練習していました。

どんなに苦しくても表現することから逃れることはできない

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デビュー当時の作品で、印象に残っているものがあれば教えてください。

『終わりのセラフ』という作品に出演させていただいた時のことですが、この時は現場でリテイクを何度も出してしまい、それでもダメで、スタジオに僕ひとり居残って収録しました。毎回「このセリフができていないから、来週までにできるようにしてきてください」と言われ、必死になって練習したのを覚えています。

具体的には?

部屋にこもって、セリフをICレコーダーに録音していました。そして録音した自分の声を聞くたびに、学習ノートに漢字の「正」の字を書いていきました。そしてそのページが「正」の字で埋めつくされるまで、同じことを何度も繰り返しました。

反復練習に打開の糸口を見つけようとしたのですね?

当時の僕はこのやり方以外、どうしたらいいかまるでわかりませんでした。とにかく、この「正」の字で埋めつくされた学習ノートだけを、心の頼りにして頑張り続けていました。

『アイドルマスターSide M』の冬美旬役で永塚さんを知った方も多いと思うのですが、この作品の時はいかがでしたか?

この現場でも録り直しの毎日で、自分はやはりダメなんじゃないかと落ち込むことの多い作品でした。今思えばそれも仕方がなくて、僕自身、演じるにあたってキャラクターが定まっていなかったんです。冬美旬は、アイドルなのにアイドルらしからぬキャラクターで、あまり感情を表に出さない反面、心の中ではいろいろな思いが渦巻いている、という難しい役柄でした。ですから、どうすればみなさんにこの冬美旬というキャラクターを愛していただけるか、常に悩みながら演じていました。なので今、みなさんにここまで愛していただけているのはとても嬉しいです。

永塚さんにとって、ご自身の考え方が変わるような経験をした作品はありますか?

はい。『Butlers~千年百年物語~』です。この作品で、キャラクターをよりドラマチックに、より魅力的に演じることの大切さを学ぶことができました。それ以前の僕は、どうすればナチュラルに演じることができるかを考えていました。でもこの作品では、音響監督さんから自然であることに加えて、アニメとして、どうしたら面白く演じられるか、そして観ている人を魅了できるかを教えていただきました。

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とても大きな経験だったのですね。

そうですね。この作品以降は、ナチュラルなキャラクターはよりナチュラルに、ファンタジックなキャラクターはよりファンタジックに、そのキャラクターと作品の世界観に合わせて演じられるように心がけています。

お仕事をするようになって、日ナレで学んだことが活きていると実感できることはありますか?

声優の基礎である発声や滑舌は、現場に出るようになった今だからこそ大切だと実感しています。そして、日ナレに通っている時にしっかりやっておいて本当に良かったと思っています。

永塚さんの考える声優という仕事の魅力について教えてください。

年齢、性別、国籍など関係なく、完璧に変身できることです。もちろん仕事ですから、楽しいことばかりではありません。むしろ落ち込むことや苦しいことの連続です。でも、なぜか僕は表現することから逃れることができないんです。演じることが理屈抜きで好きで仕方がない、今はそう思っています。

どのような声優になりたいか教えてください。

「このキャラクターは永塚にしかできない」「永塚の演技が欲しい」とおっしゃっていただける役者になりたいですね。僕は自分の演技にリミッターをかけたくないんです。キレイにおさまる芝居を心がけることもプロとして大切だと思います。でも、僕は予想を超えたところにある面白さをめざしたいと思っています。失敗を恐れず、誰もが想像する正解を超えたその先の正解をめざしたいと思っています。

最後に声優をめざしている方にメッセージをお願いします。

僕は声優として、目に見えるような急激な上達や成長はない、と思っています。悩みながら、考えながら、必死に演じている間に気がついたら自分の理想とする演技に近づいているものだと思っているんです。声優への近道はありません。とにかく地道に頑張って欲しいです。

プロフィール

永塚ながつか 拓馬たくま

所属事務所
アイムエンタープライズ

主な出演歴

  • DOUBLE DECKER!(アップル)
  • Butlers~千年百年物語~(青葉蛍)
  • 活撃 刀剣乱舞(こんのすけ)

永塚 拓馬