巽 悠衣子さんインタビュー
2010年10月1日アニメイトタイムズ掲載インタビュー
PROFILE
巽 悠衣子 9月17日生まれ。アイムエンタープライズ所属。
声優志望の姉の手伝いから自分も声優を目指すことに!?
声優を目指したきっかけを教えてください。
子どもの頃から『美少女戦士セーラームーン』や『あずきちゃん』などが好きでアニメはよく見てました。あずきちゃんと勇之助君みたいなカップルになりたいなとあこがれたり(笑)。本格的にハマったのは、中学2年生の時にやっていた『ヒカルの碁』で、その時に声優というお仕事を知りました。でもなりたいとまでは思ってなく、普通に大学へ進学できたらいいなと考えていました。
そうして間もなく、お姉ちゃんが先に声優を目指して養成所に入ったんです。家で課題の読み合わせとかを嫌々、付き合ってたら楽しくなってしまい、私も声優になりたいと思うようになったんです。親に相談したら大学への進学を条件に許してくれて、大学合格後に養成所にも入りました。
受験勉強と声優になるための勉強を同時にしていたんですか?
受験を決めてからはまず勉強だけに集中しました。私は心配性なところもあって、声優の勉強も並行してやろうとしたら、絶対うまくいかないと思ったので。だから、養成所に入った時はまったくゼロからのスタートでした。芝居経験もないままで飛び込むのは勇気がいりましたが、入らなきゃ始まらないぞと。
声優への道のリスタートは日ナレから
巽さんが日ナレに入ったきっかけを教えてください。
先に日ナレに入っていた友人が「お芝居をきちんと教えてくれる、いい養成所だよ」とアドバイスしてくれたんです。資料を調べたら、卒業生もすごい方ばかりで実績もある。それに受講料が安かったのもありがたかったです。総合的に判断してここしかないと思って、ドアを叩きました。
大阪校の雰囲気はどうでしたか?
スタジオやレッスン場が1カ所に集中しているので、みんなが一つにまとまっていて、アットホームな感じがしました。講師や事務局の方が温かく見守ってくれている雰囲気が好きでした。あと「東京校に負けるか!」という対抗意識が強かったので、「もっと頑張らなきゃ」と、みんな熱く燃えてましたね。
いきなり本科からのスタートにドキドキ
巽さんは基礎科ではなく、いきなり本科に入られたんですよね。
私自身は基礎科からのスタートかなと思っていたので予想外でした。唯一、心配だったのは基礎科から上がってくる人が多いと思って、「私、ちゃんとなじめるかな」って。ドキドキしながら1回目のレッスンに行ったんですけど、みんなが仲間として普通に受け入れてくれて、すぐに仲良くなれました。
大学と養成所の両立は難しくはなかったんですか?
日ナレに入ってすぐの頃は、レッスンを受けていると夢に近づいている実感が強くなっていって、どうしても気持ちが養成所に通うという方に傾いてしまって、大学に通うモチベーションも薄れていってしまいました。でも事務局の方に「大学を卒業してからでも遅くないよ」と言っていただいて、所属してからもまずは目の前の学業とバイトに専念しました。 今考えると、大学時代の生活や経験はその時にしかできないし、学んだことも多くて、今は卒業してよかったと思っています。
今でも心に残る「芝居は足し算じゃなく掛け算」
本科ではどんなレッスンを受けたんですか?
舞台でのお芝居が中心でした。「芝居は感情から自然と出てくるものだから、まずは感情を意識しなさい」と言われて、日々のレッスンでその感覚を身に付けていきました。それまでの自分の芝居がいかに独りよがりだったのかに気付いて、相手の芝居との呼吸の大切さも学びました。講師の方には本当に感謝しています。
印象に残ったレッスンや講師の方の言葉はありますか?
まず入った頃、声が細いと言われて、最初は意味がわからなくて。しばらくして、デビュー後に現場でも同じように言われたので、講師の方はやっぱり「すごいな」って思いました。指摘が的確で、いろいろな場面で温かく、時には厳しく指導していただきました。 思い出深いのは、大阪での一番最後のレッスンで「芝居は足し算じゃなくて掛け算なんだよ」とおっしゃった、講師の言葉。お互いの芝居を引き出し合うことを自分はまだちゃんとできないけど、東京校に行ったらこの言葉を忘れずに、掛け算ができる自分になれるように頑張ろうと思いました。
1年目で事務所所属が決定! その時、巽さんがとった驚きの行動とは?
ちなみに今の事務所への所属が決まったのはいつですか?
今の事務所、アイムエンタープライズへの所属が決まったのは本科で学んだ1年目の終わりくらいで、大学3年になる前です。所属できたのがすごくうれしくて。テンションが上がり過ぎて、「大学を辞めて、すぐ上京します!」と事務所の方に話したら驚かれ、「卒業してからでも遅くないから」となだめられました(笑)。 結局、所属後も1年間は大阪校の研修科で学んで、大学4年になるまでに必要な単位を全部取得してから卒業より1年早く東京に出てきました。
研修科ではかなり実践的なカリキュラムを学ばれるそうですね。
そうですね。東京に出てきてからも研修科でレッスンを受けていましたが、声のお芝居を中心に教えていただいた印象があります。アフレコ実習では、現場で失敗したことを持ち帰ったり試したりできるチャンスになったので、すごく参考になりました。
研修科では良きライバル、良き仲間達と切磋琢磨
研修科は周りのレベルも高いから励みになるんじゃないですか?
他にも事務所に所属している方がいたので、いい刺激になりました。自分へのダメ出しはもちろん、他の人に出されるアドバイスも勉強になりましたね。いい芝居をしている人を見ると「こんな表現のしかたがあったのか」と悔しい気持ちになることも多くて。私、負けず嫌いなんです(笑)。それがバネになって次のレッスンではいいものが出せたような気がします。 良いライバルだけど、良い仲間でもあるので、悩みをよく相談し合ったりしました。この3月に卒業しましたが毎週会っていた仲間と会えなくなるのは寂しかったですね。
どの校舎で学んでも平等!在学中にプロになれるチャンスも
巽さんが感じている日ナレの魅力を挙げてください。
まず全国のどの日ナレでもしっかりと見てくださるシステムがあることですね。私は大阪校にいましたが、東京の本部の方にレッスンを見ていただく機会もあり、所内オーディションもあります。頑張っていれば、在学中に事務所に入るチャンスもあって。 あとクラスには学生から社会人、主婦の方までいろいろな年齢層の方がいて、それぞれ価値観が違うので話していてもおもしろいんですよね。教わることも多いですし。本当にいっぱい魅力があります。私みたいな子でも協調性が身に付いたことが個人的には素晴らしいと思ってます(笑)。
声優志望の方へのアドバイスをお願いします。
声優になりたいと志した時に最初は不安になったり、声優への道を歩み始めた時にもつらくなったり、くじけそうになることもあると思います。そんな時は、いつでも「好き」という気持ちを忘れないでほしいです。私は「お芝居が好き」とか「表現することが好き」だから頑張れたし、悩んだ時もそう思うことで立ち直れたこともあります。好きという気持ちを持ち続けていれば、光が見えてくると思います。私もこれからなので、一緒に頑張りましょう!
テンションの高い役を演じたい。そして息の長い声優を目指して
巽さんの今後の目標を聞かせてください。
まだ、それほど演じたことがないので、幅広く、いろいろな役をやってみたいです。近い希望ではテンションが高い役をやりたいな。私は結構、テンションが高いのですが、役柄は低めのキャラが多いので(笑)、自分のテンションを超えるキャラを演じてみたいです。 将来的には長く演じられる役者になりたいです。勢いも大事だけど、いろいろな引き出しや魅力を身に付けて、末永く愛してもらえて、ずっと使ってもらえる役者になるためには今が大切な時期です!一生懸命頑張ります!
最後に皆さんへメッセージをお願いします。
養成所に入った時は期待半分、不安半分で、声優になれる確信なんてもちろんありませんでした。でも声優になった今、いろいろな作品、いろいろなキャラに出会って、前よりももっとこのお仕事が好きになっている自分がいます。もちろん、悔しい想いをすることも多いし、まだまだ学ぶことも多い日々ですが、本当に魅力的でおもしろい仕事だと思います。声優になろうか迷っている方は、まず資料請求をするなど、アクションを起こしてみてください。そしていつか、同じ現場に立てたらいいなと願っています。声優としても、女性としても発展途上な私ですが(笑)、きっと成長していくと思うので、長い目で見守ってください。