早見 沙織さんインタビュー

2008年8月15日アニメイトタイムズ掲載インタビュー

PROFILE

早見はやみ 沙織さおり 5月29日生まれ。アイムエンタープライズ所属。

早見 沙織のインタビュー

両親に背中を押されて、夢の入口に

声優になろうと思ったきっかけを教えてください。

3~4歳頃からアニメや映画が大好きでよく見ていました。早起きして『美少女戦士セーラームーン』を見たり、母がオードリー・ヘップバーンなどが出ている60~70年代の映画を好きで一緒によく見ていました。まだ字幕も読めなかったので吹き替え版で見ていたんですが、日本人じゃないのに日本語をしゃべっていることにもまったく違和感はありませんでした(笑)。小学生になってから、外国の役者さんがしゃべっている口の動きにあわせて日本語をしゃべったり、アニメのキャラクターがそのまましゃべっているわけでなく、声を吹き込む仕事があるんだと知って「私もいつか、こういう仕事ができたらいいな」と思ったのがきっかけです。

声優になるためのアクションを起こしたのはいつ頃ですか?

「声優になりたいな」と思って、何となく養成所や学校の情報が載っている雑誌を本屋さんで探しているうちに、小学校6年生の3月頃、ある雑誌を読んだら日ナレのことが載っていて、「声優になるための学校があるんだ」と知りました。日ナレにはジュニア声優クラスがあって、小学4年生から通えることも書いてあって「いいな」と。両親に「声優になりたいな」とは言葉には出していましたが、「養成所に行きたい」という意思表示はできないままでした。その後、数カ月してまた日ナレが載っているページを読んでいて、日ナレのページを開いたままテーブルの上に置いておいたら、たまたま母親が見つけて。「行きたいの?」と聞いてくれたので「うん」と。両親は基本的には私がやりたいことに関してはちゃんと自分の考えを伝えて、説明すればやらせてくれる人で、この時も「そんなに甘い世界じゃないけど大丈夫?」と何度も念を押されましたが、「それでもやりたい」と告げると「それならいいよ」と背中を押してくれました。それで自分で日ナレに電話をしました。

中学1年生で日ナレへ入所

早見 沙織のインタビュー

日ナレに入ったのはいつですか?

中学1年になった4月で、同じクラスには同じ1年生の子はひとりしかいなくて、あとは2年生や3年生の年上の人ばかりでした。でも友達のように仲が良くて、部活みたいな楽しい雰囲気で学べました。

ジュニア声優クラスではどんなことを学びましたか?

私はその後、基礎科に行って、今は本科で学んでいますが、やっていることは変わらないと思います。ジュニアだから簡単なことをやるというわけでもなく、いい所はほめて頂けるし、悪いところは指摘されます。厳しさもありますが、私達を本気で育てようとしてくださる講師の方の熱意がものすごく伝わってきたので、怖いと思ったこともなく、信頼してレッスンを受けていました。基礎科に上がるまでは「どんなことを学ぶんだろう?」と思っていましたが、いざ上がってみると、ジュニア声優クラスでやっていたことは自分次第で濃くなるカリキュラムだったことに気付きました。

週1回のレッスンは学校が休みの日曜日

早見さんは、週にどれくらいレッスンに通っているんですか?

週1回のコースを受けています。週3回のコースもありますが、私は学校もあるので日曜日の3時間みっちり集中してレッスンしています。入所する前に希望の曜日や時間もある程度調整してくださるので、学生の方でも両立は可能ですし、どんな状況の人でも通えるのはいいかなと思います。私の場合はジュニア声優クラスに3年間通って、週1回クラスの基礎科、本科と進みました。

印象的なレッスンを挙げていただけますか?

いっぱいあるのですが、1年目はならはしみき先生に教わって、人が見ている前でテーマを与えられて自由に表現するエチュードや、2~3枚の台本を演じたりするレッスンが印象に残っています。2~3年目は、年度末に行われる発表会の前にプチ発表会がありました。先生が作ってくださった分厚い台本を演じたことが記憶に残っています。

生徒の年齢層が幅広くても夢は同じ

基礎科に上がる時は、何か心構えや取り組む気持ちが変わったりしましたか?

新しい環境になりますが、進級するような感覚で特別な意識はありませんでした。一緒にジュニア声優クラスから行く人も多かったので、高校に進学するような感じでした。ただ大人の方と一緒になるので「どうなるのかな?」とドキドキしました。でも声優になりたいという気持ちは同じなので、分け隔てなく、一緒にレッスンを受けられました。

早見 沙織のインタビュー

クラスには演劇経験者やある程度、スキルがある方もいたりして驚かれたりはしなかったんですか?

講師の方が基礎科の同じクラスにいる以上は同じ環境から始めようとしてくださったので気おくれしたりせずにカリキュラムに取り組めました。確かに経験者だったり、初めてなのに上手な方もいらっしゃいましたが、その方々を見て学ぶことも多かったです。うまい方がいたら「もっと頑張らなくちゃ」という気持ちもいっそう強くなったのでよかったです。

中学時代にジュニア声優クラスから事務所所属へ

デビューが2007年ということは、その時は基礎科に所属していたのでしょうか?

デビューはジュニア声優クラスにいた時です。中学2年生の3月に所内オーディションに受かって事務所所属になりました。その年に『桃華月憚』のオーディションがあって、年内にはED曲をレコーディングしていたのであっという間でした。

レッスンを受けながら、仕事もされているわけですが、プラス面はありますか?

日ナレで教わったことって全部現場で役に立つんです。もちろん現場で学ぶことも多いですが、日ナレでは演技面だけでなく、礼儀作法なども教えていただいて。本当に重要なことだと思います。

歌は個人的なボーカルレッスンで鍛錬

『桃華月憚』では歌も歌われていますが、歌のレッスンも日ナレで受けていたのでしょうか?

週3回のコースにはあるそうなんですが、私は歌のカリキュラムはとっていなくて。1年半くらい前から個人的にジャズボーカルのレッスンを受けています。ジャズボーカルには母が5~6年前から通っていて、私も付き添いで行っていたんですが、「あなたも習ったほうがいいわよ」と言われて中学生の時に私も習い始めました。

高校にも通いながら、日ナレのレッスンと、個人的にボーカルレッスンを受けていて、レギュラーのお仕事も週に何本もされているのはすごいですね。大変ではないですか?

大変じゃないと言ったらウソになりますが…(笑)。私が好奇心旺盛で、どれも自分がやりたいことをやらせていただいているので楽しいです。やはり皆さんのサポートと両親の協力があるからこそできることなので、とても恵まれていると思うし、本当に感謝しています。

現場で必要な基本と、大切な仲間を得られるのが日ナレの魅力

早見 沙織のインタビュー

日ナレに通う現役生として、日ナレの魅力はどんなところでしょう?

やはり小学生から大人まで学べる受け入れ体制の広さですね。私はジュニア、基礎科、本科と進んでいますが、レッスン内容などは講師の方によって違う部分があっても、軸になる部分がブレていないので、ステップを踏んで成長していけるのではないかと思います。
それから声優のお仕事をする上で大切な基本を教えてもらえることです。お芝居やテクニックなども大事ですが、何よりも現場で共同作業をしていく上で一緒にお仕事をする方達との接し方、礼儀作法、敬意を持つことなどを教わったことで、経験が少ないまま初めて現場に出ても、ここまでやってこれました。
また、一緒にレッスンを受けている人達が同じ目標を持って切磋琢磨できることも素晴らしいです。時には激しいやり取りをすることもありますが、みんな真剣に取り組んでいるからこそぶつけ合えるし、苦しい時には相談にのってもらえる、そんな仲間を得られることは貴重なことだと思います。

声優になりたい!と思ったら、まず一歩を踏み出すのが大事

声優を目指す皆さんへアドバイス、エールをいただけますか?

養成所に入るまでは「声優になるにはどうしたらいいだろう?」と想像するしかなかったんですが、実際に入ってみてから楽しいことや辛いこと、華々しく見えても影で努力が必要だということがわかりました。養成所に入ろうか迷っている方は、私が両親に背中を押してもらって電話したように、ご家族と相談したり、日ナレの方に聞いてみるのもいいのではないでしょうか。悩んでいる時間も大切なので、必死に悩んで、それから一歩踏み出していろいろなことを経験したほうがいいと思います。私自身、そう思って今、頑張っているので一緒にやりましょう!

最後に皆さんへメッセージをお願いします。

声優になりたいと思っている方や悩んでいる方は実際に養成所や専門学校を見学したり、いろいろと情報を集めたり、相談したりするなど行動に移したほうがいいと思います。やはり動き出さないと、実際に自分の目で見ないとわからないことはたくさんありますから。そういう意味では、この夏は考えたり行動に移すための時間がたくさんあるので、納得が行くまでやってみてください。
日ナレに入ろうかな?と思っている皆さん。私もまだまだ勉強することが多くて、何年通っても足りないなと思うことばかりです。でも自分を磨いていけば明るい未来が待っていると信じて、少しずつ希望の道を開くために日夜励んでいます。同じ夢を志す者同士、一緒に頑張りましょう!

ありがとうございました。

声マガホーム