内田 真礼さんインタビュー

2012年11月12日アニメイトタイムズ掲載インタビュー

PROFILE

内田うちだ 真礼まあや 12月27日生まれ。アイムエンタープライズ所属。

内田 真礼のインタビュー

声優をめざしたきっかけは、幼い頃から好きだったゲームだとお聞きしましたが、どれくらい遊んでいたのですか?

家族全員がゲーム好きだったので、私も本当に大好きでした。ネットゲームにハマったときは、暇さえあればずーっとゲームで遊んでいました。

親から「ご飯食べなさい」とか、怒られませんでしたか?

言われましたね~。でもパーティーを組んでたら抜けられないじゃないですか! 私、ヒーラーだったので抜けられなかったんですよ。ご飯を食べずに遊んだり、ご飯を部屋まで持ってきて食べたりしてましたね。
(注)ヒーラーとは、仲間の体力などを回復する役割のこと。

それだけ聞いたら引きこもりみたいですね。

あははは! さすがにコレは毎日じゃないです。普段はご飯を食べてお風呂も入って、準備万端にしてから遊ぶんです。

それほどゲームをしていて、なぜ声優をめざそうと思ったのですか?

とにかくゲームが大好きで、後の世代にゲームの素晴らしさを伝えるような仕事に就きたかったんです。なので初めはゲーム会社に勤めることも考えました。でも、私は中学生の頃、演劇部だったのもあって、あるとき「声優業もいいかもしれない」って思いついたんです。声優でもゲームのお仕事に関われますからね。それで声優養成所の見学に行ったんです。そうしたらとてもおもしろそうだったので、私はゲームを制作する側ではなくて、お芝居をする方に進もう~って決心しました。

養成所はいくつも調べたのですか?

3校くらい見学してから日ナレを選びました。日ナレは高校3年生の1月頃に見学して、2月頃には試験を受けていました。急に決めたので、たぶん両親もビックリしていたでしょうね。私としては、大学に行くような気持ちで進んだんです。

内田 真礼のインタビュー

3校まわって日ナレに決めたきっかけは?

一番楽しそうだったからです。3時間のレッスンを見学したんですが、みんなが仲良く作品を作り上げていく姿勢に感激しました。ほんと、みんなが楽しんでいる雰囲気が伝わってきたんです。あとは些細なことかもしれませんが、私は養成所を選び始めた時期が遅かったのに、日ナレは快く対応してくれたんです。それで「ここは安心できる」って思ったのもあります。自分で養成所に電話をかけるのって緊張するじゃないですか? だけど優しく対応してくれたので、見学にも参加しやすかったですね。

それでは入所してから感じたことは? 想像どおりでしたか?

思ってた以上に楽しかったですね! 私は高校生の頃はバイトばっかりやっていたので、部活とか青春っぽいことはしてなかったんです。なので普通の人よりちょっと遅いかもしれないけど、日ナレに入ってからが私の青春でした(笑)。私は3年間在籍していたんですが、どのクラスでも仲良くできました。その頃のクラスの人たちとは、いまでも遊びます。

内田さんが選んだコースは、「週1回クラス」?

はい。週に一度、3時間のレッスンを行うコースに在籍していました。レッスンは週に一度でしたが、仲間とはそれ以上に会っていました。レッスンがない日でも、みんなで集まって練習するんです。公園で声出しをしたり、時間を作っては演技の勉強をしていました。日ナレに集まった仲間たちは目標や好きなことが一緒なので、集まると楽しいんですよね。

好きだったレッスンは?

用意された台本から、みんなで劇を作っていくレッスンが好きでした。入所するまでは自分で市販の台本やセリフ集を買ってきて、ひとりで声をボイスレコーダーに録音していたんです。それを自分ひとりではなく、みんなで役を分担してできるんです! みんなでひとつの作品を作り上げていくレッスンは、とても楽しくて充実していました。

内田さんが役を演じるとき、キャラクターの絵があるのとない状態では、どちらが得意ですか?

最近はキャラクターの絵を見て、そのイメージに自分の声を合わせるのが楽しいな~って思ってきましたけど、昔はエチュード(用意されたキャラ設定から作っていくアドリブ劇)が好きでした。日ナレでは、ほとんどキャラクター設定がないところから劇を作るレッスンもあったんです。私はこれが大好きだったんです。率先して「はい! はい!」って手を挙げていました。例えば「寝て起きて、なにかやってください」というお題だった場合、私は「叫ぶ」とだけ決めて手を挙げちゃうんです。そこからはアドリブでやります。

アドリブが得意だなんて、ベテランの役者さんみたいじゃないですか!

声優としてアドリブを入れるのはまだまだ難しいですけど、日ナレは自由になんでもやってよかったので、やったもん勝ちでしたからね(笑)。アニメの場合はキャラクターの設定に合わせたアドリブじゃないといけませんが、エチュードだと自分自身のアドリブなので、やるのが楽しくて好きなんです! あの頃を思うと、ほんとにアクティブな学生だったと思います。常に「前へ前へ」って、そんな学生でした。

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同じクラスにはどのような人がいましたか?

私は自分がアクティブなので、友達も似たような性格の人が多かったです。そんな仲間が集まっていたので、3時間のレッスンが終わった後にファミレスに集まって、レッスンの話をしたり、今後の目標などをみっちり話し合ってましたね。

そんな仲間からの反応はいかがですか?

いろいろ出させていただいているので、たまに友達から「○○で見たよ」って連絡をもらいます。当時の仲間たちに見られるのは、恥ずかしいけど嬉しいですね。たまに同窓会に呼んでもらって会うんですけど、そんなときに「自分も悔しいからがんばる!」って言われると、私ももっとがんばろうって気になれます。

クラスの方々の年齢層は?

私は18歳で入ったので、一番下のほうでした。30代の人もいましたが、日ナレでは年齢は関係ありませんでした。年齢が違っても入った時期が同じなら同級生ですし、仲良くできました。

内田 真礼のインタビュー

養成所時代の生活スタイルは?

あの頃、私の生活の中心は日ナレでした。レッスンがある日をめざして、やらなきゃいけないことや練習をこなしていくだけで精一杯でした。目の前にやることがたくさんあると、一週間って短いんですよね。

養成所でのレッスン以外で、どのような自主トレーニングをしていましたか?

毎日、滑舌をよくする練習をひたすらやっていました。あとは台本を読んだり、自分の声をボイスレコーダーに録って聴いたり。これ、簡単にできることですが、とても大事だと思うんです。

ボイスレコーダーに自分の声を録ることですか?

はい。自分の声を好きになる特訓なんです。誰でも自分の声を自分で聴くのは気持ち悪く感じますが、慣れたら違和感がなくなってきます。でも、他人に聞こえている声はコレなんだってことを認識すると役を演じやすくなります。それに自分の癖もわかってきますしね。

日ナレの講師で印象に残っている人はいますか? また、どんなレッスンをしましたか?

その頃のクラスの人たちと話すとよく話題に上がるんですが、坂本千夏さんが大好きです! 千夏さんのレッスンでは、何人かのグループで劇を作っていくんです。用意された小さな紙の台本に詳細は書いてないので、「自由にキャラを作ってきていいよ」って言われてたんです。エチュードとはまた違ったんですが、自由にアドリブを効かせられるレッスンでした。

それでは最後にプロの声優さんとして、これから声優をめざす皆さんにアドバイスをください!

今は声優になりたいと思っている人が多くて競争率が高いそうですが、心の底から本気でなりたいと思っていれば、どんなことでもできると思います! 私のように、養成所に見学に行った勢いで通ってしまうのも手段のひとつです。もっとすぐにできるのは、ボイスレコーダーを買ってきて自分の声に慣れる訓練もいいと思います。ボイスレコーダーがなくても、パソコンでもスマホでも声は録音できますから、まずはやれることをやってほしいです。とにかく、どんなことでも積極的にチャレンジするのが大事です。

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積極性が大切なんですね!

私がいままで「前へ前へ」って進んできて、後悔したことはないんです(笑)。だからガンガン進むのは間違っていないと思います。これは私の性格なんですが、石橋は叩かない! 渡ってみて落ちたら、落ちたときに考えるタイプなんです。好きなことに向かって真剣にまっすぐ進めば、未来は見えてくると思います。これを読んでくださった人と、いつか一緒にお仕事ができる日がくるといいなって思います。

アドバイスありがとうございました。もしこの記事を読んで日ナレに入った後輩ができたら、優しくしてください!

もちろんです! 日ナレでは「先輩にもらったものを後輩に返していきなさい」って教わるんです。私は日ナレの1年先輩で同じ事務所の松岡禎丞さんから、演技や声優についてたくさんのことを教わりました。なので私も知っていることは後輩に教えていきます。知識を後輩に伝えていくことは、日ナレの伝統のようなものですからね!

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