田村 睦心さんインタビュー

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2008年12月3日アニメイトタイムズ掲載インタビュー

田村たむら 睦心むつみ 6月19日生まれ。アイムエンタープライズ所属。

「変身願望」を実現するために声優の仕事へ

声優という職業があることを知ったのはいつ頃ですか?

小学3~4年生くらいですね。『るろうに剣心』というアニメが好きで、作品の資料集みたいな本を読んだら、演じている役者さん達のプロフィールやコメントが掲載されていて、「いろんな作品のキャラクターの声をあてているんだ」とわかって、他の作品も見て「このキャラもやってたんだ!」と感動しました。

声優という仕事を知った後、自分がなりたいと思ったのは?

その頃に「声優っていいな。なりたいな」と漠然とは思っていました。元々、変身願望が強くて。そもそも幼稚園の時に「いい女になりたい」と言ってたし、アニメで男の子を女性が演じていると知ると「カッコイイな」とあこがれました。
決定的に「なりたい」と思ったのは、中学の時です。演劇部に入っていたんですが、そこで教えてくれるコーチは女子には男の子役をキャスティングしない人で、さらに男子の入部者が増えたため、女子で男の子役をやりたいという希望がさらに遠のいて。お姉さん的な役があっても背の高い女の子に役が行っちゃったりするのが悔しくて。「舞台では私がやりたい役はできないのかなぁ」って。見た目では男の子役もお姉さん役も難しいかもしれないけど、声優としてなら演じることができるかもしれないと。そこから本格的に声優になろうと決めました。

高校時代に入学金を貯めて在学中に入所

中学時代に声優になろうと決意して、実際に行動に移したのはいつですか?

高校1年生の時、母が新聞でミュージカル出演者募集の記事を見つけて「やってみたら?」と薦めてくれて、オーディションを受けたら出演することになって。主役とか大きな役ではなかったんですが、舞台が終わるまでいろいろとお金がかかって。また中学時代には日ナレのことは知らなくて、他の声優学校の資料とか調べた時、結構お金がかかることがわかってアルバイトを始めました。そして高校2年生の時、学費になるくらい貯まったので学校を探そうと。夏に日ナレの無料体験レッスンに参加して、ここにしようと決めて、翌年の春に入所しました。

当時は高校3年生。卒業まで待つという選択肢はなかったんですか?

早く声優になりたいと思っていたので、なるべく早く行動を起こしたかったんです。

あらかじめ自分で学費を貯めてまで入学するほど想いが強かったんですね。いろいろな学校がある中で日ナレを選んだ理由はなんですか?

受講料が安いことと、週1回のレッスンというところですね。高校に通いながら、次の年の受講料を貯めるためにバイトもしなければいけなかったので。

高校に通いながら、バイトもして、日ナレのレッスンも受けるというのはすごいですね。計画性や行動力に感心します。

ありがとうございます!

今でも胸に残る先生からの大切な言葉

実際に日ナレに入ってみた感想は?

当たり前のことですが、全然部活とは違いますね。基礎練習をやって、台本を渡されて、「はい! どうぞ」という感じじゃなくて。エチュードとか、詩を自分達で作品に起こして演じたりするレッスンなどすごく難しくて。フリートークのレッスンとかもありました。なのに私はいまだにトークがうまくないんですけど……。周りにはトークがうまい人とか鉄板なネタを持っている人とかいてすごいなと。

クラスメイトの年齢構成は?

バラバラでした。私と同じように高校生もいたし、社会人の方もいて。いろいろな交流ができて楽しかったです。

既に演劇をやられていたことは大いに役立ったんじゃないですか?

演劇部のコーチが発声とか基本的なことをしっかりやってくださる方で。演技も形だけで教える感じじゃなかったので、その時の体験が活きて、レッスンを受けても「なるほど」と理解できる部分も多かったです。でも周りには演劇などの経験がない人や初心者の方も多かったので、自信がないという人もそこはあまり心配しなくてもいいと思いますよ。

基礎科、本科ではどんなことを学んだんですか?

基礎科では日ナレストレッチという厳しい姿勢で発声練習する基礎練習があって、それがすごくキツイんです。発声する前にポーズをとることが難しかったりする時もあって。たぶん筋力のせいだと思うんですが。さっきもちょっと話しましたが、詩からセリフなどを作るレッスンも難しかったです。私の班で『バカになれ』という詩からバカレンジャーという設定で物語を作って演じた時、講師の方が「初めてこの題材で笑ったよ」と言ってくださった時は「よかった!」という達成感がありました。

レッスンで教わった中で印象に残っていることはありますか?

“何事も選択だ”という言葉が印象に残っています。生きていく上で選ばなきゃいけないことってたくさんあると思うんですけど、演技のセリフひとつとっても言い方で意味が変わってきますから。

田村さんが事務所の所属になったのは?

本科の終わり頃に日ナレ内で行われる関連会社オーディションを受けて、今の事務所に合格しました。

事務所が決まった時の感想は?

うれしかったです。実は前年の基礎科の時にも関連会社オーディションを受けていて、そのときは最終面接でダメだったので、ホッとしました。
実は、自分がダメだとへこんでしまった時期もあって。でも本科の講師の方が「あまり気にし過ぎないほうがいいよ。思うままにやりなさい」と言ってくださったおかげで頑張ることができました。今でも本当に感謝しています。

デビュー後もレベルの高い研修科でレッスン中

事務所に所属するのと同時期に研修科にステップアップしましたがいかがでしたか?

本科から研修科に上がった時、レベルの高さに驚きました。皆さん、それぞれがエクスカリバーみたいな得意武器を持っているような感じで(笑)。台本を使うレッスンで時代劇のドラマCDを録ったり、アニメ、外画、ナレーションなどの実践的なレッスンから舞台までいろいろやりました。

デビュー後もレッスンを受けていますが、何か変化はありましたか?

大きな変化はありません。でも『バシン』の収録がレッスン前にあるので若干、疲れた感じかも(笑)。レッスンは楽しいので元気にやっているつもりなんですけど、段々声がかすれてきて。講師の方からは「どんどん少年になってるな!」と言われます。前は「年の割には大人っぽいな」とか言われていたのに、今では「ガキ!」扱いで、複雑な心境です(笑)。

和気あいあいとした楽しい雰囲気みたいですね。

そうですね。もちろん演技に関しては厳しいですが、言い方とか接し方を考えてくださっているので。

日ナレに入って演技の楽しさを再確認

改めて日ナレに入ってよかったと思うことは?

演技が楽しいということを実感させてくれました。演劇部にいた頃もそうでしたが、演技を続けていく中でツライと感じたり、やめたくなることもあると思いますが、日ナレに入ってレッスンが毎回楽しいし、「これからも演じ続けていきたい」と思わせてくれて。本当に入ってよかったです。

そして声優になってみて、自分がイメージしていた通りの仕事でしたか?

まだわからないことが多くて、ご迷惑をおかけしているかもしれませんが、現場にいさせていただくことに心躍るというか、ワクワク感があって。イメージ通りといえばそうですね。すごく楽しいです。

目標とされている方はいますか?

竹内順子さん、高山みなみさん、日髙のり子さんなど、女の子も男の子もできて、少年役がカッコイイ人にあこがれます。

必要なのは「柔軟性」と「発想力」、そして「勇気」

声優になるために必要なことは何だと思いますか?

柔軟性とか発想力かなと思います。自分で「こうかな」と作ってきたものが現場で違うこともあって、その時に言われたらすぐに直せる柔らかい頭と、言われたことをそのままやるのはでなく、ちゃんと意味を理解してちゃんと出せる発想力が大事かなと。私もそうなりたいと思って頑張っています。

声優になりたいと思っている人達にアドバイスをお願いします。

とにかく“勇気”だと思います。「選択」の話をしましたが、「本当にこっちでいいのかな」と迷った時も決断する勇気が必要だし、現場でのアドリブなど「こういうふうにやってみたい」と思った時に、自分の中に留めておくのではなく、実際にやってみたりする勇気とか。レッスンでも練習してきても自信がない時もあると思うんですが、気にせず、むしろ一番にやってみるのがいいと思います。「自分が声優になりたい!」とか、「この学校に行こう!」と決めたら自分を信じて勇気を持って進んでください。そのほうがきっと後悔が少ないと思います。

では最後にメッセージをお願いします。

人と関わっていくことが好きなので、現場で皆さんとお会いできたらうれしいなと思います。私自身としては、これからいろいろな役をやらせていただく機会もあるかと思いますが、自分が参加させていただいた作品で「アイツ、いい感じでやってるな」と皆さんに思っていただけるように頑張りたいと思います。まだまだ未熟な私ですが、今後ともよろしくお願いします!

ありがとうございました!

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