2015年7月7日アニメイトタイムズ掲載インタビュー
PROFILE
大西 沙織 8月6日生まれ。アイムエンタープライズ所属。
声優になりたいと思ったきっかけを教えていただけますか?
アニメを見るのが大好きで、夕方から夜までアニメをはしごして見るのが日課でした。そして小学4年生の頃、アニメの劇場版の宣伝で声優さんご本人がしゃべっているのをテレビで見て、キャラに声をあてている声優というお仕事があることを知って、「なりたい!」と思いました。でも振り返ってみれば、幼稚園の時、お誕生日に将来の夢を書いたものが見つかって、「『もののけ姫』のサンになる」と書いていて。その時からキャラクターになりたいという想いはあって、声優という職業の存在を知って、「私も声優になりたい!」と思ったんでしょうね。
実際に声優になるための行動を起こしたのは何歳くらいの頃ですか?
小学4年生の時から声優になりたいと思っていたんですけど、部活では吹奏楽をやっていて。中学卒業までやっていたので習い事は難しい状況でした。高校1年生になった時は特に部活にも入らなかったので、養成所でレッスンを受けてみようかなと。自分で電話して資料を取り寄せて、日ナレの入所面接を受けました。
でも高校入学直後となると、その年の入所は締め切っている養成所も多いですよね?
そうなんです! 日ナレを選んだ理由の1つが7月から入所できる募集があって、私も7月から通い始めたんです。なので、まだ間に合いますよ! と皆さんに伝えたいです。でも日ナレを選んだ一番の理由は、第一線で活躍する先輩方をたくさん輩出されていることです。卒業生の方のお名前を見ると、私が観ていたアニメに出演されている方がたくさんいらっしゃって。実績があって、ここだったら安心してレッスンに打ち込めると思えたのが大きいですね。
日ナレのどのコースを選んだのでしょうか?
学生だったので週1回のレッスンを受けるコースを選びました。最初は基礎科から始まるんですけど、ストレッチや発声など基礎的なことを学ぶので、演技経験者の方とのレベル差を感じたり、物怖じすることはなかったんです。驚いたのは、周りの人達のやる気がハンパじゃなくて。私は元々、引っ込み思案で物静かなタイプだったんですが、最初のレッスンでクラスのみんなの気合いやエネルギーのすごさを感じて、「このままじゃ、埋もれてしまう。負けてられない!」って。みんなのパワーに引っ張られて、頑張ろうと思えたので、いいクラスメイト達に出会えてよかったなと思っています。
レッスンの内容は?
クラスによって講師の方も違うし、教わる内容も違うんですけど、私は日ナレストレッチという発声しながら柔軟するストレッチをじっくりやって、体を暖めてから滑舌練習、早口言葉、鼻濁音など基礎的なレッスンをして、1年間の集大成として舞台発表をしました。まったくマイクには触れず、台本らしいものも最後の舞台の時くらいだった気がします。
週1回のレッスンで物足りなさを感じたりすることはなかったんですか?
1週間に1回、レッスンで学んだことを次のレッスンまで反復練習して。基礎的な内容だったので、ストレッチや早口言葉など家でも1人でできることでしたし。1週間じっくり1人で練習して、その成果を次のレッスンで講師の方に見ていただいてアドバイスをいただくというスタイルは私には合っていました。
学びっぱなしではなく、教わったことを自主的に練習・吸収しようとする姿勢は、高校1年生なのにかなり意識が高かったんですね。
そうなのかな? 今まで演劇などやっていたわけじゃないので、とても楽しかったということがあるのかもしれません。声優になるための第一歩に初めて触れて、一つひとつが声優になる道のりにつながっていると思うと、時間があれば教わったことをやってました。
基礎科で1年学んで、審査に合格すると本科へ進むわけですが大西さんもその形で?
はい。それに本科で1年学んだ後に研修科へと進む流れなんですけど、私は本科を2年やっているんです。本科の1年後に研修科へ上がれなかった時は泣きました(笑)。でもクラスも入れ替わるし、講師の方も変わって、レッスンの内容もガラっと変わるので、まったくムダじゃないし、足りなかった部分をじっくり取り組めるチャンスだとポジティブに考えて。実際、現場に出始めると基礎的なことを学び直す機会はなかなかないし、いろいろな方向から演技に触れられて、自分の基礎を固めるという意味でも本科で2年学べたことは大きかったです。
本科ではどんなレッスンを受けたんですか?
本科の1年目はシェイクスピアなどの戯曲を使った演劇的なアプローチでお芝居を学びました。2年目の講師の方は発声に気を遣う方で、同じ演劇的なレッスンでしたが、自由にお芝居を考えて演じていた1年目とは違い、劇中に発声が正しくないと一つひとつ細かく指摘されて。声を大きく出したり、よく通る声についてなど、より発声を意識したレッスンでした。
そして研修科に上がると実践的なレッスンを受けるわけですね。
はい。マイク前のお芝居ですね。最初に言われたのは「君はどうしてそんなに距離感がとれないの?」と。例えば電車の中で女の子2人がしゃべっているシーンでも、大きな声でしゃべってしまって(笑)。でも体を動かして演技することを基礎科と本科で身に付けて、研修科で距離感やマイク前でのお芝居を教わって、と段階を踏めて学べたのはよかったです。
レッスンで教わったことで印象的なこと、今でも役立っていることは?
基礎科で教わった発声練習などは毎日やっているので暗記しているくらい。今も仕事前にのどを起こすためにやっているので役立っています。あと最後に学んだ講師の方からは「もっと自由になりなさい」と教わって。みんなでレッスンしている時、違うお芝居をしている人を見ると「あの人のお芝居が正しいのかな」とすぐに思ってしまうことが多くて。でも、「それぞれの芝居が違ってもいい」という講師の方に出会えて、視野が広がりました。たくさんの講師の方に教わって、その方々の良い部分を吸収して昇華させていけば、いい役者になれると思うので、今後も教わった講師の方々のレッスンを突き詰めて、実践していきたいです。
最近の声優は特に、マイク前で演じるだけでなく、歌を歌ったり、踊ったり、ラジオやイベントでトークしたりと、エンターテイナーとして様々なことが求められて大変ですね。
ベースになる発声や体を使ったお芝居を学んできたからその応用で何とかやっています(笑)。私は歌やダンスに触れてこなかったので、お仕事で急に歌って踊ってくださいと言われた時は「えっ!?」と驚きました。でも一から学べるのは楽しかったです! 私は週1回クラスでしたが、週3回クラスではダンスや歌のレッスンもあるそうで、うらやましいです(笑)。
通って学んだ大西さんが感じる日ナレの良さや魅力とは?
素晴らしい先輩方が活躍されていることはもちろん、週1回、週3回と自分に合ったコースを選べて、学生や社会人でも通えることですね。いろいろな年齢や境遇、いろいろなお芝居についての考え方をもつ人と、一緒に学んでいくことでモチベーションも上がるし、それぞれ違った演じ方やお芝居もあって、それに触れられることも貴重です。また発声など基礎を学んで、体を動かす芝居を身に付けて、マイク前のレッスンをするという流れがあることで、自然と演じることができるので、そういうステップを踏んでいけることも素晴らしいと思います。
今後の目標や夢はありますか?
お仕事を初めて4年目になりますが、「よくできた!」と手応えを感じることもあれば、「全然ダメだった」と落ち込むこともあったり、波が激しくて。だから何でもプラスに考えて、何事も吸収して、成長していきたいです。そして考えることを止めたくないと思っていて。悩みを引きずって演技に反映しちゃうのはよくないけど、悩むことは絶対必要なことだし、悩まないとステップアップできないと思うので、いい意味で悩んで考え続けていく声優でありたいと思っています。
では声優をめざす方へのアドバイスと皆さんへメッセージをお願いします。
声優をめざして頑張っている人には楽しむことは忘れないでほしいです。演じることが怖くなる時も来ると思いますが、最終的には楽しくお芝居できていることが、イキイキした演技につながると思うので。あとレッスン中に自分と違うお芝居を見ても、そちらに寄せる必要はないと思います。自分のスタイルや演じ方を持って、キャラに反映させることは大切なことなので、もちろん良いところは吸収しながらも自分のスタイルを追求してください。私自身としては、今後も常に新しい大西沙織の演じ方をお届けできるように精進していくつもりですので、見守っていただけたらうれしいです。
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